内容説明
世界遺産に登録されている熊野(紀伊山地の霊場と参詣道)は、日本でも有数の聖域であり、古来人びとはこの地を訪れてきた。縄文時代から記紀の時代、中世、近世、近代を経て、今もなお多くの人が熊野に足を運んでいる。なぜ人びとはこの地域に惹き付けられるのだろうか。神仏混淆と言われる熊野の深層には、いったい何があるのだろうか。世界各地の聖地を研究してきた宗教人類学者と地元出身の写真家が、さまざまな文献や精力的な現地取材をもとに、熊野の本当の魅力を明らかにする決定版。
目次
謎
神仏習合
熊野の深部へ
籠もり(incubation)
神地
石の力
熊野古道
花山院
小栗判官
一遍上人〔ほか〕
著者等紹介
植島啓司[ウエシマケイジ]
宗教人類学者。1947年東京生まれ。東京大学卒業後、同大学大学院人文科学研究科博士課程修了。NYのニューススクール・フォー・ソーシャルリサーチ客員教授、関西大学教授、人間総合科学大学教授等を歴任
鈴木理策[スズキリサク]
1963年和歌山県新宮市生まれ。写真家。東京藝術大学美術学部准教授。2000年第二五回木村伊兵衛写真賞。2006年第二二回東川賞国内作家賞、和歌山県文化奨励賞。2008年日本写真協会賞年度賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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umeko
12
「熊野」の奥深さを覗き込んだだけに過ぎないと感じた。写真の美しさが、熊野へ足を運んでみたい気持ちに拍車をかける。2015/08/19
うえ
10
「高野山が女人禁制を厳しく守ったのに対して、熊野が女性や下層民のみならず…「信不信をえらばず、浄不浄をえらばず」受け入れたというのは、当時としてはむしろかなり例外的なこと…不治の病とされていたハンセン病患者もためらわずに受け入れた熊野の懐の深さにはまた驚きの念を禁じえない。しかも、高野山側は、熊野が「外国から来臨した神」を祀っている点をも非難しているが、神はつねにどこからかやってくるものであり、常在する神などこの世には存在しえないのである。そもそも高野山にしても…仏陀なくしては存在しえなかったのでは」2018/09/06
チューリップ
6
写真がたくさん使われているし分かりやすいしで面白かった。熊野行ってみたくなるなあ。2011/08/11
マーク
6
34 少し神がかり的な拒絶感があるが、力作。参考になった、益々訪れたくなった。 ガイド的な期待で読み始めたが、かなり趣きが異なる。宗教学的な考察が柱。磁場、パワースポット、あるの? 熊野三山。籠もりincubation。 ●補陀落渡海 船に閉じ込めて外から釘打ちて海に出る。恐ろしすぎ。強制もあった! ⭕️古座川峽 一枚岩→嶽の森山→峯集落に矢倉神社、居住2名。ぽつん ⭕️天河大弁財天社 空海法然親鸞一遍日蓮 南日浦のラムダ石、中谷の天鼓石 ⭕️玉置神社、湯の峰♨️2023/07/09
Junko Yamamoto
4
「磐座」に興味があり読んでみた。文章、写真、どちらも素晴らしく熊野を歩きたくなる…2015/07/19