出版社内容情報
「今の日本の社会はどこかおかしい」──ならば、原因をはっきりさせましょう!
この国の教育や政治、経済に感じる「気の重さ」、晴らしてみませんか?自分で考えるための足場作りに向け、独特の「一発をかます」作家のたくらみ!
内容説明
今の日本に漠然としてある「気の重さ」を晴らす作家の確かな企み。大人も子供も「行き場のない」という大問題。惰性となってしまった「進歩」をもう一度考え直す。
目次
第1章 「子供の問題」で「大人の問題」を考えてみる(どこから話を始めるか?;どうして子供が自殺をするのか?)
第2章 「教育」の周辺にあったもの(「いじめっ子」はどこに消える?;一九八五年に起こったこと;思いやりのなさが人を混乱させる)
第3章 いきなりの結論(産業革命前に戻せばいい;歴史に「もしも」は禁物だけど;産業革命がもたらしたもの)
第4章 「家」を考える(「家」というシステム;機械は人を疎外し、豊かさもまた人を疎外する)
著者等紹介
橋本治[ハシモトオサム]
1948年、東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。77年『桃尻娘』で講談社小説現代新人賞佳作受賞。以後、小説、評論、戯曲、エッセイで幅広い創作活動を続ける。『宗教なんかこわくない!』で第九回新潮学芸賞、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で第一回小林秀雄賞、『蝶のゆくえ』で第十八回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
太田青磁
16
なんだかまとまりはないんだけど、言ってることは共感できる。いじめによる自殺と親による虐待の結果の死の類似には、社会の閉塞感を感じます。家と学校以外の居場所がある子どもは幸せなのかもしれません。プラザ合意からのバブルはなんだかなあと思いますし、西欧列強の襲撃を受けた薩長という地域とその官僚体制が現在の政権まで影響を及ぼしている現実は不思議な気分です。60年代に戻すのが解であるのならば、日本の60年代と同じような道を辿っている国や地方に活力を見出せということなのかもしれません。2013/05/15
壱萬参仟縁
13
今の日本は何かおかしい・・・。そういう漠たる不安を抱いていたところ、3・11が発生したのではないか。本書は、6年前に出ている。しかし、色褪せない。子供による他の子供への虐待、それが、いじめ(28頁~)。虐待とは、親が子を、というばかりではない。同じ境遇でも虐待が起きる。自明のことのようでいて、見過ごす点だ。いじめは、逃げ場をつくらせない。姑息なやり方である。いじめは、本音と建て前の文化から生み出されているのではないか。評者はそう思う。外面と家では二重人格。そんな親も多いのではないか。村八分の追放もいじめ。2013/07/07
おせきはん
12
今は、そのように感じることがよくありますが、この本が出版された10年余り前に既に「思いやりが足りない」と書かれていたことが特に印象に残りました。子どもの居場所が家か学校の二択で、その他がなくなったのは大人も同様で、その結果、サード・プレイスが注目されるようになったのでしょう。今から10年後、日本がどのようになるか、自分なりに考えを巡らせてみたくなりました。2018/01/05
Hiroyuki SATO
11
https://what-is-this-is-it.blogspot.com/2018/10/blog-post_36.html 印象に残っているのは、「高層ビルなんていらない」って感じかな。確かに、人口が減少した未来の日本で、果たして維持できるのだろう?2018/10/14
阿部義彦
11
扱う範囲が広すぎてとても要約できません。産業革命や終身雇用やエコロジーやその他諸々を橋本治がまたややこしく一点突破します。なんと、文明をあの時代なみに戻してしまえば如何とばかりに高層ビルディングを壊してしまえと暴論を展開!あとは自分で読んでややこしくなってください。2016/01/30