内容説明
二〇〇一年九月十一日に起きた同時多発テロ。それは世界を震撼させ、戦争やさらなるテロへのきっかけとなっていく。ニューヨークの隣、コネチカット州のプレップスクールで学んでいた著者は、超大国アメリカの激震を身をもって体験した。街にはためく星条旗、混乱する教師や生徒、パールハーバーの再来という声、底なしの恐怖を利用する政府…。なぜアメリカは、アフガニスタン空爆からイラク攻撃へと続く、途切れることのない憎しみの連鎖へと突き進んだのか。歴史的事件を肌で感じ、「9・11世代」と名づけられた女子高生が、超大国アメリカの本質と日本の未来を問い、平和への願いを綴る。
目次
第1章 変わりゆくアメリカ(九月十一日の衝撃;これは復讐か ほか)
第2章 アメリカとは(多様性を誇る超大国;キング牧師の夢に近づいたのか ほか)
第3章 イラク攻撃は避けられたか(高校における戦争の影;正当な戦争 ほか)
第4章 教育現場からみた戦争(イラク攻撃の最終段階;アメリカ史を掘り下げる ほか)
著者等紹介
岡崎玲子[オカザキレイコ]
1985年兵庫県生まれ。小学六年生で当時史上最年少で英検一級を取得。中学二年生時にTOEIC975点を記録。全米トップ3ともいわれるプレップスクール(寄宿制私立高等学校)、チョート・ローズマリー・ホール校に奨学金付きで合格し、十五歳で同校二年生として入学。2003年6月に優秀な成績で卒業
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感想・レビュー
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扉のこちら側
69
2018年38冊め。再読。小学6年生当時、史上最年少で英検1級に合格し中学卒業後に米国の名門校に留学した著者。執筆当時は18~19歳頃のはずだが、これだけのものを書ける才能と受けてきただろう教育に驚かされる。本文中では当時の学生達が授業や寮で重ねてきた議論の様子が描かれているのだが、歴史や政治面での知識の深さに驚かされる。一方でこれだけの名門校にも「9.11の犠牲者数はヒロシマ・ナガサキでの死者数より多い」と言って譲らない学生がいたなんて、そこはやはりアメリカの義務教育がそう教えているからとしか思えない。2018/02/07
佐島楓
36
9・11当時、アメリカの高校に在籍していた著者。緊迫した当時の様子、日本人としてのアイデンティティーについてなど、率直に書いてある。アメリカの高校の授業スタイル、さまざまな識者を招いて意見をききディスカッションしたり、レベルの高い問題について考えたり、といった考察の深さ、学生の意識の鋭さに感心させられた。矛盾を抱えた大国に居るという意味で、著者はいろいろと考え抜いたのだと思う。好感のもてる本でした。2014/07/28
はすのこ
3
戦争に対する持論展開だが、範囲が広く何が伝えたいのかが謎。絞ればいいのに。2016/01/05
スズツキ
3
過度なソフトパワー信仰の一例か。近代日本では威力を発揮したこの考えは、間違いなく転換期を迎える。2015/03/25
かりん
3
3:『レイコ@チョート校』の続編は、911への鋭い視点。いやはや、このレベルにまで…という思いと、当時のアメリカの状況に唸る。真っ当…。■他国の住民と比べて、共通の伝統文化によるつながりが薄いアメリカ人は、時代が着々と『進歩』していることを象徴するオピニオン・リーダーを偶像視したがる傾向。Stepping into someone shoe's:他人になりきってみる。世界の警察→国際的保安官:法規の制定そのものを手中に収めてしまおうという魂胆。歴史を学習する=戦争を二度と起こさないようにする、ではない。2012/07/19