内容説明
多くの日本人にとって、ブラックボックスのような存在、それがイスラムではないだろうか。イスラム過激派によるテロ活動や、バーミヤン石仏の破壊などで「イスラムは怖い」という印象を持つ人もいる。だが、イスラムとはもともとサラーム(平和)というアラビア語から派生したことからもわかるように、平安と平等を求める宗教なのだ。グローバル化の現在、12億人の人々が暮らすイスラム社会への理解なしに、われわれは世界を語れない。本書は、イスラムの歴史や思想、そして現代イスラムの潮流を、わかりやすく読み解く格好の入門書である。
目次
第1章 イスラムとは何か
第2章 イスラムの宗派と、民族の融和と抗争
第3章 成長する「イスラム原理主義」とは何か
第4章 パレスチナ問題―イスラムと異教徒との最大の紛争
第5章 現代の「ジハード」をスケッチする
第6章 イスラムとの共存・共生を考える
著者等紹介
宮田律[ミヤタオサム]
1955年、山梨県甲府市生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)大学院歴史学科修士課程修了。現在、静岡県立大学国際関係学部助教授。専攻は、イスラム地域研究、国際関係論。イスラム過激派の活動とイデオロギーの解明をテーマに、多くのイスラム国・地域を取材
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感想・レビュー
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巨峰
17
今から10年以上も前に書かれたイスラムの社会と政治の概説書だがとてもわかりやすい。10年後の今、この作者の新しい著書を読みたいと思う2012/08/06
sagatak
7
○○なのは間違いないという表現が多いのが気になったが、内容は理解し易くイスラム世界の問題、いやむしろアメリカやユダヤ人社会の問題をも明らかにしてある。ポイントとなるのはこの本の発刊が2001年6月で、911の事件が起こったのはなるほど避けられなかったと分かる点だ。そうならないような世論を作る役には立てなかったのだなと思うと残念だが、それも本書の内容のごとく様々な人間集団の思惑が原因となっているわけで、力で止めることなどできないのかもしれない。2013/06/11
ほなみ
4
読書会の宗教会のために再読。 この本が書かれたのは9.11より昔のやや古い本だが、その当時からイスラムとテロの関連がイメージとしてあったみたい。 トルコ、アラブ、イランとイスラム文化の担い手を大別しながら話を進めてくれているので、わかりやすくはあるものの、やや客観的すぎるので、ありがたいようで、求めてるものは違ったな感。 イスラム法の五つの指標とかもわかりやすかったし理解できたけど、もっと内面に入り込んだ視点を次は読みたいと思った。2024/11/17
いけだのどん
4
「イスラムって何?」から始まるイスラムについての入門書。本書はあの9・11の3ヶ月前に出版されたもの。基礎なので歴史的なことはわかるが、9・11を踏まえたらどんな本になったか、続編はないのだろうか。とりあえずシーア派とスンニ派(本書表記はスンナ派)の区別だけはようやくはっきりとわかるようになった。そうなるとイスラエルやアメリカ、その他周辺の中東諸国との関係も見えてくる。今起きていることへの理解も深まる。2014/07/01
スズツキ
4
端的に抑えておくべきポイントが網羅してあって好印象。基本書と評されるだけのことはあります。2014/02/21
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