出版社内容情報
さよなら平成、今こそ昭和。新しい時代の始まりにおくる、昭和小説アンソロジー!
昭和十三年、戦争の足音が聞こえる中、貿易商の令嬢と異国の血を引く少女の間に芽生えた確かな絆(ひずき優「光子と蛍子」)。
戦時中、出征前夜に出される心づくしの料理を求め――それに込められた「思い」を求めるあやかし(一穂ミチ「ごしょうばん」)。
昭和四十四年、学生運動には興味がなく、カメラを買うため貧乏生活を送る大学生が経験したほろ苦い出会いと別れ(ゆきた志旗「35mm未満の革命」)。
昭和六十三年、大学進学のために田舎から上京した少女が戸惑いながらも過ごしたバブルな青春(相羽鈴「私はバブルに向いてない」)。
昭和という激動の時代に翻弄され、時に抗い、時に取り残されながらも、ひたむきに生きた人々を描く珠玉の四編。
内容説明
英国人の血を引く少女とハイカラ令嬢の間に芽生えた確かな友情、出征前夜の晩餐に込められた想いを味わうあやかし、学生運動に興味のなかった青年が経験した出会いと別れ、田舎から上京してきた少女が戸惑いながらも過ごしたバブルな青春―。『昭和』という激動の時代に翻弄され、時に抗い、時に取り残されながらもひたむきに生きた人々を描く珠玉の四編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
papako
77
相性の良い集英社オレンジ文庫のアンソロジー。一穂ミチさん目当てで。戦前~戦中~バブルまでの昭和のお話。『ごしょうばん』やっぱり一穂作品好きだわ。もっと書いていただきたい。ごしょうばんにご馳走あげたいような、このままがいいような。他の作品も、短編ながら味わいがあり、楽しめました。私はバブルの恩恵はウケてない。それは幸せなのかも。やっぱりオレンジ文庫のアンソロジーは楽しめる。2019/09/02
るい
35
淡々と時代をさまよう「ごしょうばん」が面白かった。他の物語も軽いタッチで描かれる長い昭和の一部たち。特に印象深い物語はなかったけれどサラっと読めて楽しめた。2021/04/26
のんちゃん
32
昭和という時代を題材にしたアンソロジー4編。戦争を扱った話が2編、後の2編は学生運動とバブル時代を扱った話だった。昭和はこの4編から分かる様に敗戦のどん底からバブル景気の時期迄、変化の激しい登り坂の時代だった。昭和の半ばから後半にかけてが、子供から青春時代だった私は、その活気の中に居られて幸せだったのかもしれない。人は生まれてくる時代を選べない。戦争を扱った第1編の話で、その理不尽さに涙が出た。時はすでに令和。本当に昭和は遠くなってしまったと、懐かしくしみじみと感じた。2021/04/04
青龍
28
昭和という時代を切り取ったアンソロジー。バブルの話は、懐かしくも、あの異様な熱狂はなんだったんだろう?と、泡沫の夢 という言葉が思い浮かぶ。光子と蛍子が一番印象に残った。2019/08/31
ベローチェのひととき
23
昭和という時代を題材とした4編の短編集。戦時中の話が2話、学生運動とバブル時の話がそれぞれ1話ずつであった。こうやって見てみると、昭和って激動の時代だったんだなとつくづく思ってしまう。私は世の中が高度成長期の頃子供だったけど、イケイケドンドンで凄く活気があったことを覚えている。時代は平成から令和へ。昭和がどんどん遠い昔になってしまう。2021/05/30
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