出版社内容情報
大学進学直前、志伸の前に突然現れた一人の青年、ハル。どこか懐かしさを感じる彼には、去年、亡くなった幼馴染の久と同じ匂いがして…!? 巻頭の「星の速さで駆けてく」他、どれも切ない恋心を見事に描いた、アンソロジー作品集。
【収録作品】星の速さで駆けてく/プリズム/ココアブレイク/積極/描きおろしエッセイ『文庫版・告白物語』/描きおろし1/4エッセイ『BACK STAGE』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa@レビューお休み中
101
ここには哀しくて、せつなくて、それでも大切にしたくなる恋の物語があるんです。あぁ、もうどのお話もせつなくていいなぁ。どのお話も、哀しい恋ばかりなのに、どうしてこんなにも読後感がスッキリしているんだろう。あぁ、そうか。彼女たちは後悔する愛し方をしていないからだ。まっすぐに相手を想い、その想いを貫き通し、納得するまで行動する。だから、哀しい結果でも、彼女たちは輝きに満ちているのだろう。哀しい恋も、相手次第では、素敵な恋になってしまう。そう考えると、哀しい恋も悪くないって思えてしまうから不思議だ。2015/06/28
赤とんぼ
38
人を好きになるのは、白か黒かでは割り切れない。選んだ人以外にも、心を少し持っていかれたりもする。その人を愛したくても、愛しきれないことだってある。実らなかった恋も、きっと自分にも相手にも、いろいろなものを胸の中に残してゆく。せつない、でもたまらなくかわいらしく、素敵な物語。谷川さん、絵も大好きなんです。2013/12/15
ぐうぐう
18
『Ｓ』と名付けられた谷川史子純愛読みきり集。『Ｓ』とは、『sorrow of love』の頭文字から来ている。事実、本書に収められた作品はどれも、叶いそうで叶わないせつない恋を描いている。しかし谷川は、恋の成就以上に大切なものを、それぞれの作品に込めているように思える。それは、「それでも好きになってよかった」という想いだ。恋情に対する、この清らかな肯定は、多くの少女、そして女性を励ますだろう。2013/07/05
スノーマン
16
たとえ実らなくても、人を好きになることは良いなぁと、健やかな気持ちになれる。表紙にもなっている『積極』、先生の究極の奥ゆかしさよ。。笑2020/01/13
るう
12
こんなにも長い間、谷川史子の漫画から離れていたのに、一話読んだだけで、あの頃の私にタイムスリップ。涙が止まらなくてやばいよ。大好きだ、この世界観。2013/03/21
