出版社内容情報
一度通った道をかならずたどって巣に帰るアリの行進。自然を清め、新しい生命をうむアブやハエの役割。ファーブル家の猫の家出物語。
内容説明
『昆虫記』は、フランスの昆虫学者ファーブルが一生をかけて書いた、昆虫の観察記録とその思い出です。
目次
1 ネコの大旅行
2 ヌリハナバチの帰巣本能
3 アカサムライアリの道しるべ
4 ツリアブ幼虫の死のキス
5 キンバエの消化力
6 幼虫をうみつけるニクバエ
7 ニクバエの天敵エンマムシ
8 ハエを狩るハナダカバチ
9 生きている無限
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
290
この巻は「アリやハエのはたらき」だが、巻頭はファーブル先生が飼っていた猫の帰巣本能のお話から。そして、このバトンを受け継ぐのがヌリハナバチ。先生は様々な実験からこのハチの本能に基づく行動を明らかにしてゆく。そこで疑問に思うのが本能。本能とはいえ、それは最初からそうだたのではないだろう。自然選択説に従うならば、その方が生存戦略(繁殖を含めて)に都合がよかったからなのだろう。それにしても、こんなふうに特化してゆくのはどのような作用によるのだろうか。それはアリやハエの行動についても思うこと。不思議だらけである。2024/02/07
毒兎真暗ミサ【副長】
23
【ファーブル紀行と】併読して七巻目。前巻でアヴィニョンからオランジュ、アルマスと、お引越ししたファーブル先生御一行。その中心にいるのは虫ではなく「猫」。引っ越しのエピソードから猫の帰巣本能、方向感覚は昆虫にもあるのか?というテーマになり。ヌリハナバチと格闘する先生。チリチリする針の刺激に負けず不屈の闘志で研究する。アカサムライアリの感覚や、ツリアブの死のキス、ハエの虚威も。知れば知るほど知りたくなる。やはりファーブルシリーズは、昆虫好きにはたまらない秘密の共有となるだろう。2024/02/18
イリエ
11
虫は苦手ですが、この巻もやっぱり面白いです。昆虫のシステマティックな動き。ヌリハナバチとツリアブの関係は特にユニークです。生きたまま中身を全部吸い出されてしまう!? ファーブルに一貫している、命のない物質がどんな風に結び合って命あるものに変わるか、考えさせられます。また、同じ作物だけを作る農業がいかに不自然なものか教えてくれます。2017/07/15
はるまき
3
うーん、読めば読むほど虫にハマる! 別の種類のアリを奴隷にするアカサムライアリ。奴隷がいないと食べることもできない・・・!!すごい世界! 2022/06/08
おやじだべさ
1
ハエはすごく沢山卵を産み繁殖力はすごいけど、天敵がたくさんいて釣り合いが取れている。動物の死骸をすばやく掃除してくれるのもハエで、その後皮を食べる昆虫もいて、自然はうまく循環している。2017/02/14