感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あむぴの
24
中世の家集は、平安時代と違って、ほとんど題詠の歌で占められていること。ただ、恋歌の中には、定家が実際に恋をして、その中で恋人にあてた作品が少なからずある。それは、父、俊成の家集に倣った結果であるかもしれない。1984年10月、集英社。2018/10/29
syaori
22
定家の人生と歌の仕事を概観できる本。定家の生涯を追う形で時代背景や詠作活動、歌の注釈などが書かれているので分かりやすいです。やはり俊成の存在の大きさを感じました。この父親の尽力(主に宮中関係)なくしては定家の名はここまで残らなかったのではないでしょうか。初期の「見渡せば花も紅葉もなかりけり」という華麗で幻想的な歌いぶりも良いですが、後年の「吹きはらふもみぢのうへの霧晴れて峯たしかなる嵐山かな」という清明で清澄な美の世界も好きだと感じました。あと百首歌の製作が3つ重なるなど、歌人の生活は結構ハードそうです。2016/06/22
ふ
1
定家の一生を代表的な詠を挟みながら俯瞰できる一冊。一首一首の詳しい解説がメインではないが、時代の大きな流れの中の定家を把握でき、明月記による不遇者意識も適度に紹介されている。全体としてあっさりとしているので(ページ数の問題もあるためか)もう少し掘り下げて定家のことを知りたくなる本。2018/10/23