出版社内容情報
私の大阪八景/しんこ細工の猿や雉
田辺聖子の文学的出発を示す自伝小説。
大阪の写真館に生まれた“軍国少女”トキコが戦中、戦後を懸命に生きぬく「私の大阪八景」。文学少女が芥川賞作家になるまでを描く「しんこ細工の猿や雉」。巻末に自作解説ほか。月報・藤本義一、河野多惠子ほか。
内容説明
文学少女が世に出るまで。自伝的小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
がんぞ
3
未婚、芥川賞以前の同人誌連載が前半。少女時代を総括までの文学的修行を描く昭和四十年の大作が後半/巡幸行脚あっても皇太子ご成婚までは皇室は人気低調だった。それでも関西では「東に奪われ女官を遠ざけられ軍服を着せられ気の毒」との思いはあったろう。まして少女時代から源氏物語を原文で嗜むほど古典文学に親しい著者はミカドが権力を持つ時期は例外的で、文化の肯綮的存在であることも熟知。/昭和帝は「不幸な時期があった」と言ったが「戦死者は犬死だったと言え」と朝鮮人は命じる。戦時中からある文化衝突が隠されたテーマとなっている2021/06/03
Nunokawa Takaki
2
田辺聖子という人物を初めて知った。自叙伝には著者自身の苦労や思いが伝わってきて、共感できるところもあれば反発したくなるところもあった。関西色の強い小説に出会ったことがないので、2つある話のどちらも新鮮であった。やはり大阪ならではの元気と強さが滲み出ている。「女の子って難しいのよ!」と訴えかけられているようで思わず引き下がってしまう小説だった。2015/10/30
encoman
2
私の大阪八景は、戦中から戦後にかけてのお話。主人公トキコが女性に生まれたことがはずかしく、いやらしいと思っていて、かつ損な役回りであると考えているのが印象的だった。しんこ細工の猿や雉は田辺さんが学生から作家になるまでの自伝的作品。その中に出てくる「女の子」という詩にも、妊婦さんが、女の子はいらないと言っているのを聞いている作者の女の子の心情がでてくる。田辺さんの作品を何冊か読んでいるけれど、なんとなく、作品の原点のようなものを感じた。2013/06/23
Forest
1
田辺聖子さん全集第1巻読了。私の大阪八景では「スカーレットオハラのような強い無鉄砲な性格にならなければいけないな」の文章が印象的。しんこ細工の猿や雉では、作家になった気持ちをしんこ細工にちょいちょいと手を入れてできる動物に自分を例えている題が良い。「みんなが幸せですべてが良くなるためにのみ、そのことだけで真実を書く」という文章が良かった。2020/02/27




