講談社現代新書<br> 古墳時代の歴史

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講談社現代新書
古墳時代の歴史

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  • サイズ 新書判/ページ数 272p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784065414705
  • NDC分類 210.32
  • Cコード C0221

出版社内容情報

古墳時代の歴史は日本列島とその周辺だけで完結するものではなく、世界史ないしは人類史の一部であることを強く意識したい。古墳時代が始まって終わる紀元後一千年紀は、古墳時代の地球規模の気候環境の変動にも影響され、(中略)人びとを束ねる枠組みとシステムとが大きく組み替えられた段階である。ユーラシア大陸の東の端の沖合に浮かぶ日本の島々に巨大な古墳が現れて、王や有力者の政治組織が台頭したのは、この世界史的組み換えの一環とみなされる。歴史の動きをグローバルにとらえるこのような視点は、近年、国際的に盛んになってきた。また、グローバルな歴史の動きを導いた一因とみられる気候変動が、ここ十年来の高精度古気候復元の研究の進展により、一年ごとの乾湿や寒暖の変化として、具体的に把握されつつある。こうした視点や成果を取り込んで、世界史の一部としての古墳時代史を叙述することを、この本の第三の目標にかかげる。社会全体や世界の動きを視野に入れ、文献史学の成果も取り込んだ、考古学による古墳時代の編年史の総合的叙述。この本でしたいことは、それである。




【目次】

はじめに この本で何をしたいのか
第1章 古墳があらわれるまで(紀元後1~2世紀)
第2章 古墳はなぜあらわれたか(紀元後3世紀)
第3章 古墳はどう拡がったか(紀元後4世紀)
第4章 古墳が巨大化した(紀元後5世紀)
第5章 古墳時代の地域・社会・くらし
第6章 古墳時代はこうして終わった
参考文献
あとがき

内容説明

古墳はなぜ造られた?巨大化した理由は?考古学の最前線では既成概念がひっくり返っていた!?はじまりからその終焉まで。本邦初!第一人者が編年体で描いた決定版通史。

目次

第一章 古墳が現れるまで(紀元後一~二世紀)
第二章 古墳はなぜ現れたか(紀元後三世紀)
第三章 古墳はどう拡がったか(紀元後四世紀)
第四章 古墳が巨大化した(紀元後五世紀)
第五章 古墳時代の地域・社会・くらし
第六章 古墳時代はこうして終わった

著者等紹介

松木武彦[マツギタケヒコ]
1961年、愛媛県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。岡山大学文学部教授、国立歴史民俗博物館研究部考古研究系教授を歴任。専問は考古学。おもな著書に『列島創世記 旧石器・縄文・弥生・古墳時代』(全集 日本の歴史1、小学館。サントリー学芸賞)などがある。2024年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

111
古墳とは単なる墓所ではなく古代王権の強大さを示すものとの旧来史観を、最新の考古学的知見から覆す。列島各地に割拠した門閥氏族のうち東日本で古墳が誕生し、婚姻や交易を重ねる中で広まったと見る。やがて西日本の氏族は朝鮮や大陸とも通交し軍事活動を活発化する過程で再編され、後のヤマト王権の基礎となる軍事連合政権が成立したとする。そこで定住や人口増を促すモニュメントとして巨大古墳が建造されたが、国内開発に集中すると逆に不要となった。いわば古墳は国家として成立するためのあだ花だったとは、廃墟建築の一例なのかもしれない。2025/12/06

よっち

32
古墳はなぜ造られたのか。なぜ巨大化したのか。社会全体や世界の動きを視野に入れ、文献史学の成果も取り込んだ、考古学による古墳時代の編年体で綴られた通史。古墳がどのように登場して、どう広がり巨大化したのか。巨大前方後円墳が王権の象徴だという一般的な理解を否定し、考古学的な知見をもとに背景を丁寧に解き明かすことで、古墳の構造や埋葬方法の特異性、王宮や都城の不在など、日本の古墳文化の独自性が浮き彫りにしていて、弥生時代の終焉から古墳時代の始まり、拡散、巨大化、終焉までを順を追って描いた構成はわかりやすかったです。2025/11/13

さとうしん

18
日本の古墳を世界史的視野から理解する、巨大前方後円墳を直接王権を象徴するものとして見ないというのが本書の特徴だろうか。世界のほかの地域とは異なり、古墳には王宮や都城の跡が付随しているわけではないとか、日本の古墳は盛土の底深くではなく盛土の頂上近くに被葬者を埋葬するのが特異であるといった指摘が興味深い。そして4世紀頃までは王族ないしは門閥氏族が並立する状況で、「大王」と呼べるような権力主体は存在せず、4世紀末以後に統合が進んでいくという。また文献の使い方も無理がなく考古学による知見と整合的であるように思う。2025/10/29

月をみるもの

15
松木さんの遺著たる古墳時代の通史。当然のように高まる期待を、まったく裏切ることのない説得力と斬新さの両立。古墳は北九州でも畿内でもなく、東海や関東で生まれた。最初は前方後円ではなく前方後方形であっただろう。この埋葬風習が、倭国大乱後の交易中心地となった纏向に持ち込まれ、やがて全国各地へと広まっていく。中期になると奈良から河内へと巨大古墳の集積地が移動し、半島・大陸との関係も強まっていく。やがて雄略ことワカタケル大王の時代にピークを迎え、次の継体・欽明で大型前方後円墳の時代は(畿内では)終焉を迎える→つづく2025/12/06

サケ太

13
なんと、こういう歴史なのか。驚きとともに、今までざっくりと考えていた古墳時代歴史観が覆された。古墳という氏族のシンボル。古墳の出現、拡がり、巨大化。古墳を中心とした時代の変遷は読んでて新鮮で、非常に面白かった。マチの存在。そこにいた門閥氏族たち。「まず神殿から始まり、街が興った」という言葉にも当てはまる古墳の存在。古事記や日本書紀に描かれるような政治システムが構築できなかった、というは個人的には衝撃だった。大王、大王家の確立も6世紀以降だったとは……。感心ばかりの読書体験だった。2025/11/27

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