講談社選書メチエ<br> 植物哲学―自然と人のよりよい付き合い方

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講談社選書メチエ
植物哲学―自然と人のよりよい付き合い方

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  • サイズ 46判/ページ数 256p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784065412848
  • NDC分類 627
  • Cコード C0310

出版社内容情報

いとうせいこう氏絶賛!
「新しく繁茂している植物学の葉の先端や根っこを余すところなく紹介しながら、一人の園芸家がヒトと自然の関係を深く掘り進む。目から枯れ葉が何枚も落ちた。」

東畑開人氏推薦!
「とにかく植物がすごすぎる。人間は全然かなわない。園芸家はそのすごすぎる自然と取っ組み合いになりながら、『いのち』の臨床をしていた。」

「人為なき自然は人を癒さない」「人は植物に対してもっと『不真面目』でいい」――。
地球温暖化、SDGs、樹木伐採にオフィス緑化……自然と人間が対立し、自然をめぐって人々が分断される時代に、私たちは植物とどのような関係を築けるだろう。
園芸業界初の植物ケアサービス「プランツケア」を創始していま大注目の「哲学する園芸家」が、その特異な経験から紡ぎ出す、「自然とよりよく生きる」ための言葉と実践! 

[目次]
はじめに
第1章 園芸二重スパイをめぐって
1 園芸家系に生まれて
2 園芸左翼と園芸右翼
3 園芸二重スパイ誕生秘話
第2章 超越としての植物
1 植物は人を凌駕する
2 超越的寿命
3 超越的身体
4 超越的知性
5 超越的戦略
第3章 園芸とは超越の飼い慣らしである
1 園芸を問い直す
2 飼い慣らし入門
3 プランツケアの哲学
第4章 自然は人を癒すのか
1 自然愛と自然嫌悪
2 自然と人為
3 自然の自然さについて
おわりに


【目次】

はじめに
第1章 園芸二重スパイをめぐって
1 園芸家系に生まれて
三田花茂から東京生花へ/社是「活ける」/いけばな生まれガーデニング育ち/「安西先生」との出会い/4代目の「使命」
2 園芸左翼と園芸右翼
フード左翼とフード右翼/「園芸左翼」とは/「園芸右翼」とは
3 園芸二重スパイ誕生秘話
問われる立場/「園芸二重スパイ」とは/園芸家と霊界探偵/「強植物性」の時代/「強人間性」の時代/「中性」の時代/「園芸極左」の時代/「観光」の時代/「園芸二重スパイ」誕生
第2章 超越としての植物
1 植物は人を凌駕する
巨人ゴリアテと少年ダビデ/控えめに言って「不老不死」
2 超越的寿命
最高齢の植物/最高齢の植物(部分)/最古の陸上植物
3 超越的身体
無限に増殖可能/全身が変幻自在/個体の概念がない/だいたい結合可能/植物は動いている
4 超越的知性
植物は知性を持っている/植物は根で思考する/植物は人を操っている/人は植物に従属している
5 超越的戦略
高速PDCAサイクルを回す/逆境を利用する/完全無欠のリスク分散/No.1かつOnly one
第3章 園芸とは超越の飼い慣らしである
1 園芸を問い直す
園芸とは/園芸の歴史(世界)/園芸の歴史(日本)
2 飼い慣らし入門
超越の本体/文明は土から生まれる/土は地球最後のナゾ/土壌微生物も99パーセントが謎/微生物と不耕起栽培/根のある園芸/盆栽への誤解/盆栽の思想/根のない園芸/「活ける」の思想
3 プランツケアの哲学
プランツケア誕生/不真面目さの肯定/再生する植物
第4章 自然は人を癒すのか
1 自然愛と自然嫌悪
バイオフィリア(人の自然愛)/バイオフォビア(人の自然嫌悪)/「ジャングル問題」の謎/自然浴とタナトス/崇高と美
2 自然と人為
園芸における自然/園芸における人為/テクノフィリア(人為への愛)
3 自然の自然さについて
「手つかずの自然さ」/「自然さ」と「健全性」/「自然さ」と「私性」
おわりに

内容説明

「人為なき自然は人を癒さない」「人は植物に対してもっと『不真面目』でいい」―。地球温暖化、SDGs、樹木伐採にオフィス緑化…自然と人間が対立し、自然をめぐって人々が分断される時代に、私たちは植物とどのような関係を築けるだろう。園芸業界初の植物ケアサービス「プランツケア」を創始していま大注目の「哲学する園芸家」が、その特異な経験から紡ぎ出す、「自然とよりよく生きる」ための言葉と実践!

目次

第1章 園芸二重スパイをめぐって(園芸家系に生まれて;園芸左翼と園芸右翼;園芸二重スパイ誕生秘話)
第2章 超越としての植物(植物は人を凌駕する;超越的寿命;超越的身体;超越的知性;超越的戦略)
第3章 園芸とは超越の飼い慣らしである(園芸を問い直す;飼い慣らし入門;プランツケアの哲学)
第4章 自然は人を癒すのか(自然愛と自然嫌悪;自然と人為;自然の自然さについて)

著者等紹介

川原伸晃[カワハラノブアキ]
1981年、東京生まれ。園芸家、華道家、ボタニカルディレクター。観葉植物専門店REN代表、東京生花株式会社代表取締役社長、創業1919年園芸店四代目、欧州国際認定フローリスト。Wellant College European Floristry修了。2010年、経済産業省主催デザイナー海外派遣事業に花卉園芸界の日本代表として選出される。2011年、花卉園芸界のデザイナーとして初めてグッドデザイン賞を受賞。2018年、業界初となる植物ケアサービス「プランツケア」開始。2020年、業界初となる植物の二次流通「リボーンプランツ」開始。2021年、プランツケアの拠点となる「プランツラボ」設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

gu

6
植物は超越(要するに人間よりずっとすごい)であり園芸は超越を飼いならすことである、という定義付けに惹かれて読んだ。植物と人間の関係についての一般的なイメージを崩して、「人にとって都合よく自然を制御する」園芸や、そもそも自然への愛着も人間に都合の良い範囲での幻想であることを肯定する。自然と人為のどっちつかずに留まること。固定観念が揺さぶられて認識が深まった気がする。2章で紹介される植物の強さとしぶとさが面白かった。崇高の概念も勉強したい。2025/11/16

linbose

1
★★★☆☆ 著者は、著名なイノベーティブな老舗園芸店の当主。極端な自然保護でもなく、極端な自然破壊でもなく、「作為された自然」を肯定することが園芸家である。様々な超越的な植物の能力を飼い慣らすのが園芸であり、園芸にとって欠かせないのは、自然と人為のどっちつかずで曖昧な状態にとどまる力であると▼植物愛に溢れて面白く読めるが、何というか、もう少し力を抜いた方が(枯れた方が)いいのでは?あるいは理屈のこね方がめんどくさいなと思うところもあるけれど(失礼)2025/12/20

茶幸才斎

1
園芸家系の4代目である筆者が、環境保護と開発との極端な二項対立に陥るのを回避する道はないものかと心を痛めた結果、植物が示す動物とは異質で異様な生命力を「超越」と称し、園芸とは植物の「超越」を囲ったり活けたりして飼いならす行為として解説し、園芸の美は自然から人為的に取り出された自然らしさに宿るとする考え方を披露している本。地球環境の持続的継承には、大宇宙の片隅で小さな球形の器に活けられた者同士、人間と植物は互いに節度をもって利用し利用される永続的な関係でいよう、という思考感覚が理想なのかもしれないと思った。2025/12/20

学多楽人

1
園芸家の著者が、植物に関する多方面のウンチクを語られています。映画や本の引用がたくさんあります。幅広いジャンルの本を読んでいますね。自分の仕事に関係する植物や土壌から次第にネットワークが拡がって行くようです。2025/11/23

Y.T

1
植物を見る目が変わった。人間の都合のいいように、植物という超越を飼いならす、という発想は納得できるものだった。とはいえ、相手は超越だから、実は人間の側が飼いならしているつもり、というだけかもしれない。自然を賞賛するときは、それが常に人間にとって都合の良い視点からの記述になっているということに、われわれ一人一人がもっと自覚的であっていい、とも思った。2025/11/18

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