出版社内容情報
「どうすれば現実の苦しみから解放されるのか」
「自己や宇宙の根底にある真理とは何か」
──こうした根源的な問いに向き合い、仏教徒たちの深い思索と実践の積み重ねから生まれた深遠な理論体系、唯識思想。
唯識は、紀元前3世紀ごろのインドで始まり、後に玄奘三蔵によって中国へと伝えられた、大乗仏教の根幹をなす思想のひとつです。この教えでは、五感(見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる)と意識に加え、深層心理にあたる末那識・阿頼耶識を含めた「八識」によって世界が生み出されていると考えます。唯識では、私たちが認識するあらゆる現象は、心=識が生み出した観念にすぎません。心の外に実体としての存在はないにもかかわらず、心はそれをあるかのように思い込む。そして、そこから苦しみが生まれるのです。哲学であると同時に宗教でもある唯識思想は、実践的な修行(ヨーガ)を通じて自己を変革し、身体的にも精神的にも煩悩から解き放たれた自由の境地、すなわち真理へと至る道筋を示すものです。
本書は、「唯識無境」「阿頼耶識」「末那識」「転依」といった主要概念を軸にして、大乗仏教随一の理論である唯識思想の本質を丁寧に解き明かした著者渾身の書です。唯識の第一人者・高橋晃一氏の解説付き。
[本書の内容]
はじめに
第一章 識一元論――唯識無鏡
1 唯識の意味
2 唯識無鏡の論証
3 認識の構造
第二章 自己の根源体――阿頼耶識
1 阿頼耶識の発見
2 阿頼耶識の機能
第三章 自我意識の形成――末那識
1 末那識について
2 末那識の成立史
第四章 真理の完成――転依
1 自己変革
2 真理の論理的解明
解 説(高橋晃一)
【目次】
はじめに
第一章 識一元論――唯識無鏡
1 唯識の意味
2 唯識無鏡の論証
3 認識の構造
第二章 自己の根源体――阿頼耶識
1 阿頼耶識の発見
2 阿頼耶識の機能
第三章 自我意識の形成――末那識
1 末那識について
2 末那識の成立史
第四章 真理の完成――転依
1 自己変革
2 真理の論理的解明
解 説(高橋晃一)
内容説明
私たちが認識する一切の現象や事物は、識=心が生み出した観念にすぎないとする大乗仏教の根本思想、唯識。実践的修行(ヨーガ)を通じて、身体と心を変革し、束縛なき自由の境地たる真理へと至るにはどうしたらよいか。「唯識無境」「阿頼耶識」「末那識」「転依」等の主要概念を軸に、理論と体験が一体となる唯識の真の姿を描き出す。
目次
第一章 識一元論―唯識無境(唯識の意味;唯識無境の論証;認識の構造)
第二章 自己の根源体―阿頼耶識(阿頼耶識の発見;阿頼耶識の機能)
第三章 自我意識の形成―末那識(末那識について;末那識の成立史)
第四章 真理の完成―転依(自己変革;真理の論理的解明)
著者等紹介
横山紘一[ヨコヤマコウイツ]
1940‐2023年。東京大学農学部水産学科、同文学部印度哲学科卒業、東京大学大学院印度哲学博士課程修了。立教大学名誉教授、鹿島神流師範。「唯識塾」塾長を務めた。専攻は唯識思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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