出版社内容情報
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花束よりも
眩しくて鮮やかな言葉を胸に
私たちも、今日という日へ祝祭を。
――杉咲 花
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『うたうおばけ』『桃を煮るひと』
最注目の著者による、名エッセイ集!
八月の木曜日、朝八時半すぎ。
わたしは通勤中に、琥珀のピアスを衝動買いした――。
いま、いまが、いまじゃなくなるなら、
いまのわたしが、いまのわたしで、いまを書く。
会社員と作家の両立。
書くこと、働くこと。
そして、独立。
へとへとの夜にじんわり心にしみる23編のエッセイ集。
【文庫版あとがき収録】
内容説明
八月の木曜日、朝八時半すぎ。わたしは通勤中に、琥珀のピアスを衝動買いした―。いま、いまが、いまじゃなくなるなら、いまのわたしが、いまのわたしで、いまを書く。会社員と作家の両立。書くこと、働くこと。そして、独立。『うたうおばけ』の著者が贈る、へとへとの夜にじんわり心にしみる23編のエッセイ集。
目次
目分量の日々
鶺鴒の日
じゃがりこ心拍数
歌の丘
虎のたましい人魚の涙
耳朶の紫式部
蝿を飼う
雪の道
白鳥は夜でも白い
竹馬とキートン山田
傷跡を聞く
バックスペースキーが取れた
うどんオーケストラ
光っているとほしくなる
あっちむいてホイがきらい
陶器のような恋
とにかくドリアを
あまりにきまじめな薪
自由な犬
るん♪
祝福の速度
わたしはお風呂がだいきらい
おめでとうございますさようなら
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mukimi
115
良いんだよなあくどうれいんさんの言葉。筆者のことはSNSで知ったけれど、SNSで映えるような身近な柔らかな輝きをたたえた切れの良い今時の言葉達。「何になりたいのか分からず、それなのにひたすら「負けてたまるか」と思っていた」花を買って「通りすがりの投げキッスのように祝おう」「日々を祝福するために私は働いている」とか、そこだけ切り抜いてキャッチコピーになりそうな文が贅沢に並んでいる。若者の勢いと思慮深さが心地よく同居する。何気ない毎日を美しい文章にできる人は幸福だ。私も拙くても日々を書き残したいと思ったり。2025/02/04
ぼっちゃん
44
『うたうおばけ』が面白かったのでこちらも読んでみた。大学生になり一人暮らしの寂しさをキートン山田風ナレーションで自分を慰める『竹馬とキートン山田』、琥珀のお店の店員さんとの説明、対応が素晴らしく琥珀のピアスを衝動買いする『虎のたましい人魚の涙』が良かったです。2024/05/03
ぽて
24
すてきでかっこよくて親しみやすくて、心の中でれいんちゃんって呼ばせていただいてる☺︎ ちょっと心が荒んでいるとき、ご機嫌で帰宅しさらに良い日にしたいとき、自分の考えを言葉にしたいのにうまくまとまらず心が整わないとき、れいんちゃんの言葉が効く2025/05/03
朗読者
19
会社員兼作家から専業の作家として独立するまで期間に書いたエッセイ。ちょっと愚痴っぽい話、ちょっと切ない話、ちょっと怒っている話が多く、ネガティブな気持ちで書いているものが多かった。数学の先生がクラスを掌握することができず退職してしまった話がさらっと書かれていたのが、とても切なかった。2025/02/27
ひろ
16
会社員としての生活と、執筆活動を並行していた頃のエッセイ集。毎月1つエッセイを書くことで自分を保っていた、という旨があとがきに綴られている。確かにエピソードそのものからも、端々の心情からも、多忙さが伝わってくる。物事に対してどうしても斜に構えてしまうところに、勝手ながら共感させていただいてる。言葉の選び方、文章の運び方も好き。受賞候補作に選ばれるも受賞に至らず、それまでの努力が「残念だったね」に集約されてしまうつらさ。確かに自分も自然と言ってしまいそう。この感性に触れるため今後も読んでいきたい。2025/03/01