出版社内容情報
百鬼夜行シリーズ17年ぶりの新作長編がついに!
殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家。
消えた三つの他殺体を追う刑事。
妖光に翻弄される学僧。
失踪者を追い求める探偵。
死者の声を聞くために訪れた女。
そして見え隠れする公安の影。
発掘された古文書の鑑定に駆り出された古書肆は、
縺れ合いキメラの如き様相を示す「化け物の幽霊」を祓えるか。
シリーズ最新作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
60
「確かに、キメラだ・・・。」「天狗」と同時期かこれ・・・。ノベルス版「朽ちる散る落ちる」の表紙のように繋がってるようで繋がらない。でも重なるしいつものメンツは徐々に関わって、集まっていく(セッちゃんまで出て来るか)。もどかしさから取り憑かれ、飲み込まれる感じ。真相としては他のにもっと凄いのがあるのに憑き物を落とされた感が今までより強いのはどうしてなんだろう(かなり期間開いたから?)。後郷嶋さん関わり過ぎたら染まりそう。何故夜の鳥じゃなく、空の鳥なのか。読み終えて、ノートを見返して一番ストンと腑に落ちた。2024/03/16
優希
51
単行本で再読です。分厚さにやられそうになりながら読みました。繋がるようで繋がらなく、最後に全てが集約される展開が見事としか言えません。接点のないまま話が進む流れはこのためにあったんだと思わされる感覚が好きだなと思わされます。「この世には不思議なものは何もないのだよ」。明彦さんの憑物落としにやられるのは時間が経っても変わらないですね。バラバラなパズルのピースがかっちりハマる。その一気にまとまる感覚に鳥肌が立ちました。この感覚が味わいたいのだなと思います。2024/05/04
nonpono
34
今回はわたしが次に旅する地、日光だから嬉しくなった。あの「姑獲鳥の夏」から30年、シリーズの全てを踏破した。今回の妖怪、「ぬえ」は友人がブログのニックネームに使いわたしは知った。読後、ぬえの鳴き声がこだまする。黒衣の男が現れ始めると、しゃんとする。水戸黄門の印篭、金さんの桜吹雪じゃないんだが、ここからなんだ、憑き物落としが、ああ、始まる。「ーこの世にはね、不思議なものなど何もないのだよ、関口くん」、毎回、痺れる決め台詞、ああ、京極堂だ。わたしのテンションも上昇していく。至福な時間をありがとうございました。2024/04/06
グラコロ
18
ふぅ~やっと読み終えた。ものすごく重かった。内容ではない。総ページ数1200p超え。レンガのような凶器本。玄関の防犯用の金属バット代わりに再利用できるな。で、中身は?久方ぶりに日光でメンバーたちが集まった同窓会みたいな感じ。ま、その趣向を楽しめるか否かはあなた次第。2024/06/27
蒐
18
「この世には不思議なことなど何もないのだよ、関口君」…このフレーズを再び味わうことができる日が来るとは!感無量!17年の歳月は長く、私も京極堂や関口君の年齢をついに超えてしまったけど、本を開けばあっという間に昔読んでいた時と同じ感覚がよみがえり一気読み。複数の絡まり合う謎を見事に祓う京極堂の憑き物落としはやはり圧巻。ただ、今回は関口君の挙動が割とまともで少し物足りなく感じるのと、主要キャラの学生時代を知っていると思しき緑川さんをもっと掘り下げてほしくて、早くも続編が読みたい…!あと、日光に行きたくなった。2024/05/31