内容説明
平安時代。とある陰陽師に拾われた鴉夜という平凡な少女は、いかにして不死となったのか。日本各地で怪物を狩る、真打津軽と同僚たち“鬼殺し”の活動記録。山奥の屋敷で主に仕える、馳井静句の秘めた想い。あの偉人から依頼された“鳥籠使い”最初の事件。北欧で起きた白熱の法廷劇「人魚裁判」―探偵たちの過去が明かされ、物語のピースが埋まる。全五編収録の短編集。
著者等紹介
青崎有吾[アオサキユウゴ]
1991年神奈川県生まれ。明治大学文学部卒業。学生時代はミステリ研究会に所属し、在学中の2012年『体育館の殺人』で第22回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。平成のクイーンと呼ばれる端正かつ流麗なロジックと、魅力的なキャラクターが持ち味で、新時代の本格ミステリ作家として注目を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
206
装丁画がアレな雰囲気なので敬遠してる人は損をしている。通常ならエピソード0とサブタイトルをつけるべき作品なのだけど、1→2→3で「不死」の生首探偵、「半人半鬼」の鬼殺し、そして銃剣を背負ったメイドの3人組の大活劇を散々読ませておいて、そこから3人それぞれの出自を語る本作はエピソード0ではなく、最初から構想された通りのタイミングで執筆された、やはり「4」であるのが正しい。それぞれのエピソードは彼らの「今」を知った上で読むと感慨深く、それぞれにきちんと見せ場も用意されている。面白い。完全に嵌まってしまった。2024/06/03
麦ちゃんの下僕
153
鴉夜が「不死」になった経緯・津軽が「半人半鬼」になった経緯・鴉夜が“生首”になって静句と共に旅するようになった経緯、そして3人が出会ってから「吸血鬼事件」までの間に遭遇した2つの“謎”について描く、読み応え充分の短編集。鴉夜・津軽・静句各々の過去を知ることで物語をより深く楽しめるのはもちろん…今回も様々な“有名人”を登場させて、“現実世界”と巧くリンクさせているのが面白いですね!(←あの名画のモチーフがこういうことだったとは!?笑) あと表紙からもわかるように、エロティックな雰囲気も十割増し(!?)です!2023/08/10
芳樹
139
本編第1巻〜3巻を補完する前日譚。鴉夜が不死となった経緯、津軽の”鬼殺し”時代のエピソードと半鬼となったいきさつに、静句と鴉夜の絆がどう結ばれたかが語られており、この素晴らしき『殺人笑劇』始まりの物語を読むことができて大変満足です。そして本編でも触れられていた、"鳥籠使い"を世に知らしめた『人魚裁判』の事件の顛末も、しっかりミステリしていて良かった。このエピソードは新聞記者アニーの始まりの物語でもあるのですね。第5巻を楽しみにしています。2023/10/20
みっちゃん
138
明らかになった最強最恐三人組の過去。壮絶。シリーズに厚みと深みを与えるね。打倒、宿敵M爺!特に鴉夜の「不死」を造り出した人物の名前とその正体には驚天動地。青崎先生、やってくれましたね😆最終章『人魚裁判』は私がシリーズにハマった第一作を思わせる面白さ。こういう「人外生物」ならではの特性を生かした本格推理、大好物です。これからもちょくちょくお願いしたい。2023/11/08
yukaring
103
今回も青崎さんの独特の世界観が冴え渡る第4巻。鴉夜がなぜ不死になったのか、津軽が鬼になった理由、鴉夜と静句の出会いが全て明らかになるファンにとっては垂涎もののストーリー。想像とは全然違うまさかの鴉夜の過去には一抹の悲しみが伴う。"ある偉人"から依頼され3人が探偵を始めるきっかけとなった最初の事件も興味深く、歴史上の有名な人物を物語に取り込み≪鳥籠使い≫たちとファルスを演じさせる青崎さんの発想力と筆力は素晴らしい。記者のアニーと初めて出会うことになる白熱の法廷劇「人魚裁判」もロジックがきいていて面白かった。2023/08/27