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内容説明
人間の意識を半永久的に持続可能な人工身体にコピーしたヒューマノイド=“カティス”が生まれた近未来。“カティス”の女性・ミチが目覚めると、世界から人類は消失していた。搭載された“安全機構”により自殺はできず、誰もいない世界で孤独な時間を生き続けることに絶望していた彼女は、少年の姿をした“カティス”のアミと出会う。“人類消失の謎”の解決を目指すと語る彼に誘われ、ミチは失われた人間の頃の記憶と永遠に続く時間を生き続ける意味を探す旅を始める―人類が消失した終末世界を人類の残骸のふたりが旅する、最果ての“日常の謎”。
著者等紹介
逸木裕[イツキユウ]
小説家。1980年、東京都生まれ。第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、2016年に『虹を待つ彼女』(KADOKAWA)でデビュー。2022年には、のちに『五つの季節に探偵は』(KADOKAWA)に収録された「スケーターズ・ワルツ」で第75回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
126
人類消失後の日本で生き残ったヒューマノイド「カティス」のミチが、突飛な日常の謎を解いていくロードノベル。人の意識がコピーされたカティスしかいない世界での「心地よい破滅」とは、どんなSF作家も考えつかなかった組み合わせだ。カティスが死への恐怖や生や性への執着とは無縁なためか、物語はディストピア的終末状況ながら奇妙なユーモア交じりに展開していく。何が起こったのかミチは少しずつ手がかりを得ながら、なぜ人は死体も残さず消えたのかという巨大な謎の真相を求めていく。そこへ辿り着く時、ミチは新たな人類の始祖となるのか。2023/08/06
☆よいこ
79
ディストピアSFミステリー。《カティス》元(オリジン)の人間の意識を半永久的に持続可能な人工身体にコピーしたヒューマノイド。2つの制約がある、①カティスは他人を傷つけてはならない②カティスは自らを破壊してはならない▽人類が消滅した町で目覚めたカティス《ミチ》が出会った孤独なカティスの物語が4つ▽ひとつめの謎はカティスはどうやったら死ねるか?。ふたつめの謎はミチの正体は?根底の謎は、人は何故消滅してしまったのか?▽キレイ系ディストピア。クイズ少年の阿見(あみ)と記憶喪失のミチの旅はまだ続きそう。2023/08/27
オーウェン
53
人類が絶滅し、カティスと呼ばれるヒューマノイドによって、人工の体に意識を移すことができる現代。 しかしカティスは人を殺せずに、自殺もできないようなプログラミングをされていた。 その中でミチは目覚め、誰もいない日本を歩き回る。 実際には人はいるが、それはカティスになった形。 よって退屈な世界でも生きなければならないという苦行が。 カティスのアミのクイズ王になるという知識量が多いこのキャラ。 物知りになるような蘊蓄が意外とアクセントになっていて楽しく見れたが、ミステリとしては限りなく薄い中身だった。2023/09/02
よっち
36
人の意識をコピーした「カティス」が生まれた近未来。人類が消失していた世界で、「カティス」の女性ミチが、失われた過去の記憶と生き続ける意味を探し始める終末旅行ミステリ。自殺ができず、孤独な時間に絶望していた彼女が出会った〈カティス〉の少年アミ。そんな彼との旅の中で出会う江ノ島のカフェを営む女性、長野を目指し娘の墓を探している男性、新宿御苑で作品を作り続ける芸術家、成田で出会った宇宙人に彼を殺されたという女性。旅先で出会う〈カティス〉とのエピソードもまた印象的で、二人の旅の続きをまた読んでみたいと思いました。2023/08/07
うまる
35
人類が居なくなった世界の日常系。半永久的に生きられるヒューマノイドだけど、意識が人工物ではなく人間の完全なコピーであること、しかしながら元(オリジン)とは精神が異なること、この2つが影響する謎がとても巧い。「五つの季節~」よりはインパクトが薄めですが、こういう世界で何を思うか、どう生きていくかという心理面が面白かったです。AIとの違いを考える3話が一番好き。一番の謎である、人類消失の謎は継続中だし、他のカティスとの絡みをもっと読みたいので、続編希望です。あとがきで構想はあるって書いてたし、期待できそう♪2023/08/10