内容説明
小学三年生の私は、音や数字、人に色がついて見えるせいで、孤独な日々を送っていた。ある日、逃げ込んだ音楽室で中学三年生の少女と出会う。彼女もまた音に色がついて見える共感覚を持っていた。檸檬色に見える彼女を「先生」と慕い交流することで、私の人生は一変する!第15回小説現代長編新人賞受賞作。
著者等紹介
珠川こおり[タマガワコオリ]
2002年東京都生まれ。本作『檸檬先生』で第15回小説現代長編新人賞を史上最年少で受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はっせー
70
青春小説が好きな人や儚い小説が好きな人にぜひおすすめの本になっている!いやー面白くて儚い。途中辛くなるがそれでもなお読みたいとおもわしてくれる本だとおもう。共感覚という音や数字が色で見える感覚を持った少年と檸檬先生とのお話。共感覚の生きづらさや葛藤 アイデンティティーなどと言った話も含まれている。最初に結末が書かれていてそこから過去に戻って話が展開されるものになっており変えられない現実があるからこそなお一層辛さと危うさが際立っているように感じる。この本で感想を言い合いたいって思える作品であった!2023/08/06
なつくさ
37
初読みの作家さん。共感覚のせいで孤独な日々を送っていた小三の私。音楽室で中三の少女、檸檬先生と出会うまでは。とても良かった。音に色が。色に音がつく世界を想像することは難しい。人混みや喧騒。音に。色に。生温い気持ち悪さが脳裏に浮かんだ。その中で。少年にとっての檸檬先生。先生にとっての少年は。どんなに素敵な色に見えたことだろう。少年がもう少し歳をとっていたのなら違う結末もあっただろうに。救ってほしかった。レモンイエローの瞳を。守ってほしかった。先生の赤を。切なさの青が胸に満ち溢れた。2023/07/02
tenori
32
鮮烈。夏目漱石の「こころ」を現代風にオマージュした作品とも言えるが、これを18歳で書いたのか。共感覚(例えば視覚と聴覚が同時に作用する。音階に色を感じる。数字や図形に色を感じるなど)ゆえの偏見と対峙する15歳の少女=檸檬先生と8歳の少年が交わる濃密な四季。文化祭での共同制作で垣間見られる僅かの感覚の違いは「先生と私」の埋められない世界観の差として冬の章に凝縮される。最後の授業は暴力的でありながら哀しくも鮮やかな色彩を残す。タイトルと装画はYA路線をイメージするも、それを覆す純文学。2025/03/23
なみ
18
数字や音に色がついて見える共感覚の持ち主である小学三年生の私が、同じく共感覚を持った少女、檸檬先生と出会う。 2人にしかわからない会話が、とても美しくて素敵でした。 壮絶なラストもすごかったです。 書き出しである程度予測できていたとはいえ、胸が苦しくなりました。2023/06/30
ソラ
8
書き出しで結末は予想できてしまうのだが、それは関係なくページを繰る手が止まらなかった。2023/07/15