出版社内容情報
まさしく豊臣秀頼こそが戦国乱世におけるシャーロック・ホームズだったのである。
大坂夏の陣の終結から四十五年が経った万治三年六月、大坂城の焔硝倉に落雷し、大爆発が起こる。
城の修復中に地下へ続く豊臣時代の石段が見つかる。
暗闇の先には、豊臣秀頼と名乗る人物がいた。
恐ろしき姿となった秀頼は「千姫は大坂城で殺された」と驚くべき物語を話し始める。
書下ろし時代本格ミステリ。
どうしてこんな作品を書いてしまったのか自分にもわからない。田中啓文
内容説明
大坂夏の陣の終結から四十五年が経った万治三年六月、大坂城の焔硝蔵に落雷し、大爆発が起こる。城の修復中に地下へ続く豊臣時代の石段が見つかる。暗闇の先には、豊臣秀頼と名乗る人物がいた。恐ろしき姿となった秀頼は「千姫は大坂城で殺された」と驚くべき物語を話し始める。書下ろし時代本格ミステリ。
著者等紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年大阪府生まれ。神戸大学卒業。’93年ジャズミステリ短編「落下する緑」で「鮎川哲也の本格推理」に入選、「凶の剣士」で第2回ファンタジーロマン大賞佳作入選しデビュー。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」で第33回星雲賞日本短編部門、’09年「渋い夢」で第62回日本推理作家協会賞短編部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
161
奇天烈!奇想天外!荒唐無稽!破天荒!こんな言葉が脳内に浮かび上がってくる。豊臣秀頼は生きていたという説はあるけれど、こんな生き方をしてた豊臣秀頼は誰も想像しないだろう。霧隠才蔵、猿飛佐助も老雄となって登場。話はぶっ飛んでるけど、そこは田中啓文!歴史の裏づけにそって、見事に歴史ミステリーとして成立させている。キツネと狸の化かしあい。いやいや、ホニャララとタヌキの知恵比べというべきかね。まあ、馬鹿らしくもあるが、秀頼の姿は置いといて、秀頼がかわいらしく思える。ラストは急ぎすぎの気もするけど、楽しめました。2023/09/26
ちょろこ
122
ずるずるでゆるゆるの一冊。雷が落ちた大阪城で発見された豊臣秀頼。しかも想像を絶する、ずるずるのお姿で45年もいたというゆるゆるの設定に思わず肩の力が抜け抜け。愛しい千姫を殺めたのは誰か、真実を知りたい秀頼。史実もなぞらえるストーリーの組み立てだから歴史オンチにも難なく楽しめた。ずるずる秀頼の移動手段はナイスアイデア。そして茶色の毛皮集団には笑いしかない。もしかしてこんなことが…?と想像を掻き立てられるのが歴史小説だけど、これは全く掻き立てられない別次元のゆるい楽しさがある。教訓:苔は食べてはいけません。2023/10/03
えにくす
110
豊臣秀頼は生きていた!大坂夏の陣から45年後、城の地下で発見されたのが、身体が蛇となった秀頼だった。彼は夏の陣で妻の千姫が、何者かに暗殺されたと告白する。では今も生きて天寿院と名乗っている、千姫は誰なのか?ここに秀頼の謎解きが始まる。これぞ田中節炸裂の、歴史ファンタジーエンタメ小説だ!徳川家康や秀忠、猿飛佐助、霧隠才蔵、柳生宗矩、真田十勇士など、豪華キャスト登場。フィクションに史実を交えた、メッチャ楽しめる物語だ。帯に「どうしてこんな作品を書いてしまったのか自分にもわからない」て、田中さん面白すぎる。★42023/07/06
タイ子
99
帯の「どうしてこんな作品を書いてしまったのか自分にもわからない」。いや、田中さんしか書けない物語なのです。千姫は後に天樹院となるが、その前にすでに何者かに殺されていた!?では、天樹院は誰?そして、大坂夏の陣で死んだはずの秀頼が生きていた。それも大蛇となって…。ほら、奇想天外でしょ。物語の展開にあたっては歴史上の人物が次々登場するわけで、ちょこちょこ史実も入れながらのトンでもない話を作る田中さんお得意話だなと。「どうしてこんな作品を読んでしまったのか分からない」などとは言いません、面白かったから。2023/06/15
えんちゃん
69
大阪城の地下にアノ秀頼が生きていた!探偵・秀頼が暴く戦国『密室』ミステリ。大坂の陣のゴタゴタに紛れ千姫は殺されていた。いったい誰がどうやって。ぴかーん。にょろーん。秀頼の推理が冴えわたる。バカミスではなく奇想天外歴史ファンタジー。意外にちゃんとした(失礼)推理モノで楽しめた。真田十勇士がアツい。2023/11/20