出版社内容情報
【AIと人類を巡る超巨弾エンタメ小説が文庫化】
今日も働く、人類へ
至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。
人類は≪仕事≫から解放され、自由を謳歌していた。
しかし、心理学を趣味とする内匠成果【ないしょうせいか】のもとを訪れた、
世界でほんの一握りの≪就労者≫ナレインが彼女に告げる。
「貴方に≪仕事≫を頼みたい」
彼女に託された≪仕事≫は、突如として機能不全に陥った
タイタンのカウンセリングだった――。
アニメ『バビロン』『HELLO WORLD』で日本を震撼させた
鬼才野﨑まどが令和に放つ、前代未聞の超巨大エンターテイメント。
内容説明
至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。人類は労働から解放され自由を謳歌していた。趣味で心理学を嗜む内匠成果も、気ままに生きる一人。だが、ある日、国連の密使が現れ彼女に今や失われたはずの“仕事”を依頼する。それは突如働けなくなってしまったAIコイオスへのカウンセリングだった。“働くこと”の意味を問いかける、日本SF史に残る衝撃作。
著者等紹介
野〓まど[ノザキマド]
2009年『“映”アムリタ』で、第1回「メディアワークス文庫賞」の受賞者となりデビュー。2013年『know』(ハヤカワ文庫JA)は第34回日本SF大賞や、大学読書人大賞にノミネートされた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mint☆
112
AI『タイタン』が人間の代わりに仕事を行い、人間の暮らしをサポート、それらを自律的に行う未来の話。世界に12拠点あるタイタンのひとつ「コイオス」の原因不明な機能低下が見つかった。原因究明のため「コイオス」の自我を目覚めさせ女性カウンセラーと共に旅に出る。よくあるようなAIが暴走し人間を支配し始めて云々といった話ではない。SFでもあり哲学的でもある。珍しいタイプのAIの話で行き着く先が全く想像できなかった。野崎まどさん初めて読んだけどこの世界観に引き込まれて面白かった。#NetGalleyJP2023/02/02
いこ
105
時は2205年。「人間が働かない方がスムース」な社会である。これは、人間知能をベースとしたAI「タイタン」のお陰である。世界12拠点に設置された大元となるタイタンが、世界中のロボットを司っていた。ある日、第2拠点のタイタン「コイオス」の機能が低下する。主人公の心理学博士内匠成果(ないしょうせいか)が呼ばれ、人格化したコイオスのカウンセリングを行うが…。少年の姿のコイオスと内匠が信頼を築いていく過程が魅力的。二人の対話から「仕事」とは何かを考えさせられた。そして、最後に判るコイオスの本当の病名とは?2023/03/01
K
82
近未来、人工知能「タイタン」により席巻されたユートピア社会。あらゆるサポートをAIが行い、人類は労働から解放され自由を謳歌する。そんな平和で単調な日常が繰り返される中、趣味で心理学を修める主人公に、突然国連機関から秘密裏に仕事の依頼が舞い込む。機能不全に陥った1基のタイタン"コイオス"と二人三脚でカウンセリングを進めるにつれ命題となる「働くとは何か」。人類から能動的な判断が失われた世界の中で、その意味を探っていく。シンギュラリティSFかつアドベンチャー要素も併せ持ち、頭の中で妄想が膨らむこと間違いなし。2023/12/09
『よ♪』
69
凄い!予想の追いつかない展開に鳥肌の連続だ。人類は超AIとその手足となるロボットを開発した──農工商業、警察など、仕事すべてを肩代わりする巨大な人工脳<タイタン>を。稼働開始から150年、突如機能低下に陥る。労働から解放されて久しい人類には地球規模の大混乱の危機だ。その原因は「ストレス」と推測され、"趣味"で心理学研究をする女性に"カウンセリング"依頼が来る。<彼>の迷い、それは──<仕事>とは何なのか。答えを求め<彼>と彼女の旅が始まる──。壮大なスケールに心踊り、繊細なやさしさに心温まるファンタジー。2023/02/03
泰然
66
誰も仕事をしなくていい世界、の空想を初期衝動満載でギリシア神話と精神医学を下敷きにして読書を揺さぶる。あらすじと哲学さは青臭いものがあるが「仕事」とは何かについて、認知バイアスの傾向や、物理の作用などのサイエンスのお作法を挟んであり、小気味良さがある。ヒトが技術革新で働く責務から解放されて、趣味に生きるようになった世界でもしあなたが「見落とされた仕事の責任」を背負う人生になったとき、あなたはその責務に耐えられるか?ラストの内匠の台詞は凡庸なようで、ヒトがりんごの木を終わりの日まで植える意志のようでもある。2023/02/11