出版社内容情報
ソニンとの出会いと友情はまだ少し先のこと――。
父母である王と王妃から愛されずに育った北国の王女イェラの物語。
ソニンが天山の巫女として成長したのは美しい四季に恵まれた沙維【サイ】の国。イェラが王女として成長したのはその北に草原と森林が広がる寒さ厳しい巨山【コザン】の国。孤高の王女イェラが、春風のようなソニンと出会うまで、どのように生きてきたのかを紹介する、本編「天山の巫女ソニン」のサイドストーリー!
内容説明
一年の半分は雪が降る厳しい風土の国、“巨山”。「狼殺しの王」と呼ばれる巨山王の正妃の娘・イェラは、望まれた男子でないゆえ、父の王には軽視され、母からも疎まれていた。幼くして自立を探るなか、王位をめぐり異母兄の王子たちとの確執に巻き込まれてしまう。孤高の王女が戦いと喪失の先に見た未来とは。
著者等紹介
菅野雪虫[スガノユキムシ]
福島県南相馬市生まれ。2005年「ソニンと燕になった王子」で第46回講談社児童文学新人賞を受賞し、加筆改題した『天山の巫女ソニン1 黄金の燕』でデビュー。同作で第40回日本児童文学者協会新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さつき
61
巨山のイェラ王女の生い立ちを描く外伝。男の子を望む母に全く顧みられない子供時代は不憫としか言えない。愛情を注いでくれる乳母がいて良かった。兄弟達とのエピソードやムサとの出会いも読めて良かったです。2023/06/15
豆乳くま
11
久しぶりのソニン。かっこいい王女イェラのあんなにかっこいい王女になる辛く切ない生い立ち。放置されていたから今の自分があると冷静にも分析するのがまた切ないけれど、全て含めてその人になるのだなぁとしみじみしちゃう。王は王として素晴らしいけれど父としては0点。母は−100点。よくぞ立派になられた。2025/05/13
赤とんぼ
6
3巻を読む前に、外伝でイェラ姫の復習。 巨山王の描き方が面白い。 星の輝きを持つ人の笑顔や褒め言葉に喜び「その人の役に立ちたい」「必要とされたい」と思い、命令された訳でも騙された訳でもなく、自ら翻弄され、己の運命を狂わせていく人々が悲しい。 星の輝きを持つ人にとっては、彼らが身を滅ぼしても、何一つ悔いることも悩むこともないというのに。2023/02/02
tsumugi
3
またこの世界に戻ってこられて嬉しい。イェラ王女は子供の頃からかっこよかったんだな。巨山の宮殿で真っ直ぐ育つことができたのは放置されたゆえだったのかと思うと複雑だが。賢くあることは難しいが、それと優しさを両立させるのはもっと難しい。読みやすく分かりやすいのに考えさせられる。読んで良かった。2024/10/26
瀬々
3
巨山外伝とある今巻の主人公は巨山王の娘のイェラ。イェラは正妃の娘だが、正妃が切望したのは男子のみ。父親からは軽視され、母親からは疎まれつつ、しかしイェラは彼らの興味が自分になくてよかったと言うまでになる。彼女がどうしてそう考えるようになったかを、異母兄弟とのやり取りなどから見受けることができる話でした。2023/02/08