出版社内容情報
「このバーでは、詩を、お出ししているのです」
今夜も、いぬのマスターのおまかせで。詩人・斉藤倫がおくる、詩といまを生きる本。
『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』につづく、31篇の詩をめぐるストーリー。
「詩っていうのは、おもい出させようと、してくれてるのかもね。このじぶんだけが、じぶんじゃなかったかもしれないことを。このせかいだけが、せかいじゃなかったかもしれないことを」
T・S・エリオット 吉岡 実 ガートルード・スタイン アメリカ・インディアンの口承詩 萩原朔太郎 ボードレール 杉本真維子 宮沢賢治 石原吉郎 ウォレス・スティーヴンズ 石牟礼道子 アルチュール・ランボー ……ほか全31篇の詩をめぐる物語
内容説明
今夜も、いぬのマスターのおまかせで。詩人・斉藤倫がおくる、詩といまを生きる本。31篇の詩をめぐるストーリー。
著者等紹介
斉藤倫[サイトウリン]
1969年生まれ。詩人。2004年、『手をふる手をする』(あざみ書房)でデビュー。14年、はじめての長篇物語『どろぼうのどろぼん』を発表。同作で第四八回日本児童文学者協会新人賞、第六四回小学館児童出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
breguet4194q
142
まどろみの心地よさを感じる読後感です。詩人が書いた詩以外の文体が非常に心地よい。「はじめに」も「後書き」もないところが詩人らしいです。犬のバーテンダーと一人の客とのやり取りを、その場面に合う詩をつきだしとして、話が展開していきます。本として考えると薄いと思いますが、だからと言って、読み流せないところに、詩の面白さが見え隠れしてます。個人的に残念だったのが、私が下戸であること。バーという設定なので、カクテルの美味しさを知っていれば、もっと内容にも詩にも共感できたのではないかと感じました。2023/04/18
アキ
109
バーテンダーがいぬのバー。つきだしにミックスナッツの代わりに詩をだすのだ。ジンリッキーを飲みながら、マスターは棚から一冊を選びカウンターに差し出した。アルフレッド・プルーフロックの恋歌T・S・エリオット(上田保訳)。詩なんて縁がなかったぼくも、マスターとの会話でだんだん詩の世界になじんでくる。「うん。よくわからない」わくわくしてきた。「わからない、というこのかんじが、詩がぼくらをどっかにつれ出そうとするフラグだって、いまは、しっているから。」ぼくと一緒にマスターから詩のことをたくさん教えてもらえました。2023/03/02
chimako
80
犬のDJのお話の斉藤さんの2冊目。今回の舞台はバー。詩について、お酒について、自分の知識が無さすぎてなかなかついていけず。わからないなぁ、なに言ってるのかなぁ、やっぱりわからないなぁ……の連続だったけれど、こんなバーがあったら行ってみたいと思ってしまう。私にはどんな詩を出してくれますか、マスター。どんなお酒を飲ませてくれますか?こんなにも拙い読者でも泣ける詩がある。129ページ「ビラヴド」難聴の男の子の頼みを10年考えた悲しい詩。言葉は人を生かしもするし殺しもする。生と死の挾間ではどんな言葉が漂うのか。2022/12/12
seacalf
79
『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』でも非常にとっつきやすい形で詩を紹介してくれたが、今回はバー。犬のバーテンダーが提供する物凄く美味しいカクテルが飲めて、つきだしとして様々な詩を出してくれる。ユニークで想像するだけでワクワクする。詩というのは自分には掴みどころのないもので、犬のマスターの発言も掴みどころがなくて何だかあやふやではあるが、はみだしている尻尾を発見して少しわかった気になったり。日常生活を送る中で知らぬうちに拵えた枠組を取っ払って、ほんの少しだけ自由になれた気がした。2022/12/07
鱒子
69
図書館本 犬のバーテンダーが出してくれる、酒と詩。出てくる詩と、本書のストーリー自体も抽象的。それにお酒が絡めてあり、なんだかふわりとした気分になりました。こんなバーがあったら、通い詰めちゃうな。ジンリッキー、今度頼んでみよう。2022/12/10
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