出版社内容情報
鳥美山 貴子[トリミヤマ タカコ]
著・文・その他
内容説明
主人公悠馬は大きな黒いとかげを捕まえたが、気づくとそれは紙になっていた。しかし真夜中、とかげがふたたび意思を持って動き始めて…?命が吹きこれまたおりがみをめぐる、時代を超えた少年たちの大冒険!「生きとし生けるものにはみな、その命をたまわる陣がある―」第62回講談社児童文学新人賞受賞作。
著者等紹介
鳥美山貴子[トリミヤマタカコ]
秋田県出身。2021年、『黒と白の対角線―おりがみおとぎ草子』で第六十二回講談社児童文学新人賞を受賞。改題した本作がデビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
78
児童書。おりがみファンタジー▽悠馬(ゆうま)は明るく元気な小学生で人気者。本当は植物好きで植物のことを話したいと思っているけど「変わった奴」扱いされてくないので黙っている。クラスで浮いている啓図(けいと)がマイペースに折り紙をしているのを感心してみていた。夏休み前、黒爪山のふもとの神社で、悠馬は黒いトカゲの折り紙を拾う。和紙でできたトカゲは夜中に動き出し、怖くなった悠馬は、折り紙教室の先生に預ける。すると先生が行方不明になった。黒爪山の伝説をきいた悠馬は啓図と一緒に山に登る▽悲しい話だけどハピエン2022/11/28
なななお
28
児童書に盛り込んでくれていると嬉しい内容がギュッと詰まった本。好きな事をしているだけなのに、何故仲間はずれにされてしまうの?…自分が本当にしたい事を隠して周りに合わせているのは幸せなの?…子ども世界のしがらみと、遠い昔の悲しい思いが、ふとした弾みで重なった時、影を閉じ込めていた封印は解かれた……。こういうファンタジー作品は、西洋世界で成立しやすい。しかしこの作品は折り紙、鳥居、神主など…和のテイストを上手く使って少年たちの成長と驚きに満ちた冒険物語を形作っている。作者は本作がデビュー作。今後が楽しみです❤2022/10/27
うー(今年も遅くなります)
15
表紙からワクワクの児童書。周囲と距離をおき折り紙に没頭する啓図、「あいつ変わってるよな」の言葉を恐れ周りに合わせる悠馬。古の言い伝え、魂が込められ折り紙から生まれたものたち。後半ハラハラで祈りながら読み進める。『好きなことにまっすぐで何が悪いんだ。イヤなこと言われても、1人になっても自分が大事だと思ったことを守れるって凄い』2023/03/10
ほんわか・かめ
14
装幀がカッコイイ!見返し遊びの黒い紙がまた惚れ惚れする。命を吹き込まれた折り紙。古の因縁。もっと壮大な物語として読みたかったと思えるほど設定がワクワクする。学校パートが弱いのが惜しい。白銀の龍のシーンは「千と千尋」のハクを彷彿させるような気がした。2023/01/05
いくら丼
14
まず引き込まれたのが、各世代らしさがある登場人物の名前。そして、現代の小学生らしい細やかな描写。小学生がタブレットで動画を投稿するなんて、私の時代ではありえなかったし、不登校ももっと少なかった。世代間ギャップは普通に暮らしているだけでは見逃しがちだが、実際は20年の差は大きい。それを、どんな解説に触れるより、実感できた気がする。子どもたちの心の動きと社会の描写が秀逸で、読んでいて非常に引き込まれる。反面、ファンタジー描写はもの足りなく感じてしまった。結末にも色々思うところはあったが、まあ、好みもあるかも。2023/01/17