出版社内容情報
川瀬 七緒[カワセ ナナオ]
著・文・その他
内容説明
捨て子の着衣のリメイク痕、中学生の制服の不自然なシワ、饒舌に語り出すヴィンテージ生地―この男には、人に見えない真相が見える。隠しても隠せない。服がすべてを自白してしまう。真犯人も、知りたくなかった過去も。こんな解決見たことない!難事件を次々に看破する仕立屋探偵、6つの事件簿。
著者等紹介
川瀬七緒[カワセナナオ]
1970年、福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザインのかたわら2007年から小説の創作活動に入り、’11年『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
285
話を作り込みすぎた感が拭えなかったシリーズ第1作の長編に対し、短編集の今作は展開がストレートだ。桐ケ谷の観察眼と小春の知識が買われ警察に協力し、主に迷宮入り事件で残された被害者の衣服の皺から犯罪者の痕跡や証拠を探し出すのに集中している。物言わぬ衣料品にこびりついた持ち主の過去を調べる点で、検視官や解剖医探偵物の変種といえる。あまり知られていない服飾関係の小道具が解決のきっかけとなり、各編の加害者の犯行動機が病的なものばかりなので読者の推理する余地に乏しいが、キャラの個性ともども意外性は十分で次が楽しみだ。2022/09/01
fwhd8325
214
シリーズ2作目。事件解決に現実味があるか否かはさておいて、これまでにない着眼点は新鮮で面白いと思います。このように事件が解決することがあればいいのにと思います。物語は解決までのプロセスを楽しむものなのでしょうか。長い時間犯行が発覚しない事件なので、自供に至る過程や犯行に至った葛藤など犯人側の描写も読んでみたいなと思います。2022/11/26
ひさか
187
小説現代2021年8月号ゆりかごの行方、9月号緑色の誘惑、10月号ルーティンの痕跡、11月号攻撃のSOS、書き下ろしキラー・ファブリック、美しさの定義、の6つの連作短編を2022年7月講談社刊。シリーズ2作目。刑事2人と桐ヶ谷、水森の服飾関係専門家のチームが、未解決事件解決に挑む。短編の桐ヶ谷京介は、1作目の長編より輝いて見え、とても、魅力的。2022/09/19
nobby
183
シリーズ第2弾は短編集。うん、このチーム完成の感じはいいね♬確かに傍から見れば「気味が悪い、怖い、どこかおかしい、理解できない」、捜査からすれば「ことごとく警察が考える重要度とは逆をいく」視点は違和感ばかり...でもまた色彩にミシン、遺品の成分などから、もう風化しつつある未解決事件をこじ開けるのが爽快♬小春の下着泥棒を履き捨てよれよれトランクスのシワから導く「ルーティンの痕跡」が大好き(笑)その一方で、やるせない虐待への桐ヶ谷さんの怒りや情熱溢れる「攻撃のSOS」も印象的。南雲さん、2人をずっと支えてね!2022/10/22
mint☆
163
仕立屋探偵シリーズ2作目。前回をほとんど忘れていたけどキャラクターは濃いのですぐ思い出すし1話完結なので問題なかった。過去の未解決事件を服飾の観点から解決していくという独特なスタイル。衣類に刻まれた個人の身体の癖やその時の状況までわかってしまう。近くにそういう方がいたら色々聞いてみたい。今回も面白かった。次もあるかな。2023/04/13