出版社内容情報
瀬尾 まいこ[セオ マイコ]
著・文・その他
内容説明
大学生の梨木匠は平凡なことがずっと悩みだったが、中学3年のときに、エスパーのように人の心を読めるという特殊な能力に気づいた。ところが、バイト先で出会った常盤さんは、匠に心を開いてくれない。常盤さんはつらい秘密を抱えていたのだった。だれもが涙せずにはいられない、切なく温かい物語。
著者等紹介
瀬尾まいこ[セオマイコ]
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、単行本『卵の緒』で作家デビュー。’05年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、’08年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞、’19年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。唯一無二の、爽やかで感動的な作風が愛されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
686
瀬尾 まいこは、新作中心に読んでいる作家です。本書は、青春オムライスファンタジーの佳作でした。 私は、オムライス好きなので、NONNAのオムライスを是非食してみたい。 初回限定のショートストーリー「アフターデイ」もGOODです。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003668282022/08/20
さてさて
642
『ぼくには人の心の中を読み取れる能力があるんだ。漏れてくる思いを感じられる力』。『普通』、『平凡』という言葉を強く意識する中に自らが持つ『特別な能力』に自身のアイデンティティを見出す主人公の梨木の日常が描かれるこの作品。そこには、人と人との関係性の中で『特別な能力』と向き合う梨木の姿が描かれていました。極めて読みやすい物語が心にスッと入り込んでくるのを感じるこの作品。登場人物のまさかの繋がりに驚かされるこの作品。瀬尾さんが描く優しさに満ち溢れた物語世界の魅力にすっかり心を持っていかれた絶品だと思いました。2023/07/31
tetsubun1000mg
572
「そして、バトンを」以降の作品の中では一番気に入った本でした。 今回は芸術家の両親から生まれたが、才能を引き継いだ姉とは全く違って平凡な梨木くん。 キャラクターの設定が抜群で、バイト先のパワハラ店長にだんだんと心を通わせていく過程が凄くいい。 出会う同級生や同僚の心の苦しみを捨て身で助けようとするところをうまく文章にしている。 ほのぼのした展開だが、終盤はやや重くなってきたかと思わせておいて、最後はあったかい気持ちにさせてくれる。 瀬尾さんならではの味で大満足の一冊で、個人的今年のベスト10に入れたい。 2022/11/12
うっちー
569
前作の感想にも書きましたが、瀬尾さんの作品の登場人物はいい人ばかりです2022/07/28
まちゃ
490
面白かったです。映像化されそうな優しい作品。ナンバーワンにもオンリーワンにもなれない平凡さに悩む梨木匠。だが、彼は相手の気持ちを感じ取り、手をさしのべる勇気を持っていた。匠の優しさが周囲の人の心を軽やかにしていく物語。人が悩んでたり落ち込んでたりすることを感じることができたとしても、その人のために行動することはなかなかできることではないと思います。おせっかい力は偉大だ。2022/09/19