出版社内容情報
日本人は誰もが「攘夷派」だった!
「尊皇攘夷vs.公武合体」という幕末史の定説を覆し、日本人の対外認識の原型を抉り出す、画期の書。
[本書の内容]
序 章 幕末のイメージと攘夷
第一章 東アジア的視点から見た江戸時代
第二章 幕末外交と大国ロシア
第三章 坂本龍馬の対外認識
第四章 攘夷実行と西国問題
第五章 攘夷の実相・朝陽丸事件
終 章 攘夷の転換と東アジアの侵略
内容説明
「尊王攘夷vs.公武合体」という幕末史の定説は、事の実相を捉えていない。当時の日本人の対外認識はみな攘夷であり、即刻それを為すか否かの相違こそが、あの血で血を洗う政争を生んだ。これまであまり顧みられることのなかったロシアの脅威や朝陽丸事件などに着目しつつ、江戸時代を通して醸成され、幕末に沸騰した攘夷思想の実態に迫る画期的な書!
目次
序章 幕末のイメージと攘夷
第1章 東アジア的視点から見た江戸時代
第2章 幕末外交と大国ロシア
第3章 坂本龍馬の対外認識
第4章 攘夷実行と西国問題
第5章 攘夷の実相・朝陽丸事件
終章 攘夷の転換と東アジアの侵略
著者等紹介
町田明広[マチダアキヒロ]
1962年、長野県生まれ。上智大学文学部・慶應義塾大学文学部卒業、佛教大学文学研究科修士課程・同博士後期課程修了。博士(文学)。専攻は日本近現代史(明治維新史・対外認識論)。神田外語大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
17
「攘夷」はみんなが納得していた目的であって、それをどう行うかという方法論で、薩長も幕府も朝廷もいがみあっていたのだよ、「公武合体」や「尊王攘夷」というのは全くのまやかしなんだよと説く一冊。目的が同じなのだからもっとうまくまとまれないのと後世の人間が思うのは、その後の歴史を知っているからで、当時の人々からしたら先の見えない不安から、強硬な行動で対立するのも仕方のないことだろう。本書でもその悲劇の例として「朝陽丸事件」を深掘りしている。結局のところ、攘夷実現のために幕府も藩も朝廷もぶっ壊されてしまうのだ。 2024/12/27
さとうしん
11
従来の開国派を即時攘夷に対する「未来攘夷」と読み替え、幕末の政治史を、攘夷実行の時期をめぐる抗争と読み替える。開国派のめざす「華夷帝国」の夜郎自大な理念を見ると、大日本帝国の破滅は成立前にして予定されていたと暗然たる気持ちになるが…2022/05/08
金監禾重
7
「幕末はみんな尊王攘夷だった」は知っていたが、攘夷論がここまで大東亜戦争に直結する思想だったとは。日露戦争の結果に浮ついただけかと思っていたが、幼稚な井の中の蛙が認識を改める機会に恵まれないまま破滅を迎えてしまったのだ。「龍馬も攘夷」は論拠が周辺人物がそうだから龍馬もそうだ、なので、そのままは受け入れがたい。第五章の「朝陽丸事件」を読むと胸が痛む。攘夷期限など約束しなければ、第一次長州征伐が徹底していたら、小倉藩が細川時代の規模のままなら、など意味もないifが浮かぶ。2025/02/04
kawasaki
7
「中二病」という言葉を連想してしまう。幕末期に本格的に直面することになった「国際関係」での自己の位置づけ方が、東アジア伝統の「華夷帝国」モデルか同時代の西欧発「帝国主義」モデルしかないという中で、植民地化が嫌なら世界の中心だという極端な認識・表現があふれ出る。個人の中二病は自我の確立のために必要なはしかのようなもので、やがて世間と折り合いをつけて穏当なところに落ち着くものと言われるが…… 朝陽丸事件や小倉藩と長州藩の対立など、幕末期日本の危機的分裂状態――「政令二途」をめぐる検討などが興味深い。2022/06/25
konomichi
5
幕末を俯瞰する上での重要キーワード「攘夷」を再定義した上で改めて幕末の再評価を試みた本。幕末を単なる「尊王攘夷」VS「公武合体」の二元論を軸に見ても理解できないよ、とのこと。鎖国の延長で攘夷を語ってるが「鎖国なんて実際なかったよ」的な論も世の中にはあるし、素人には評価は難しい。でもまあ、幕末に対する新たな視点が得られる点では、面白い一冊でした。グローバル幕末史へ続く。2022/12/04
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