出版社内容情報
島田 裕巳[シマダ ヒロミ]
著・文・その他
内容説明
キリスト教・イスラム教・仏教…人間の欲望と戒律にまつわるすべての疑問に答える!宗教界最大のスキャンダルといえば?人間の性の欲望と宗教の本質に迫る!
目次
第1章 なぜ人間は宗教に目覚めるのか―信仰の背景にある第2次性徴と回心の関係性
第2章 イエスに邪な気持ちはあったのか―キリスト教が「原罪」と「贖罪」を強調した理由
第3章 なぜ聖職者は妻帯できないのか―仏教とキリスト教の違い 女犯とニコライズム
第4章 戒律を守るべき根拠は何か―邪淫が戒められる理由
第5章 なぜ悟りの境地がエクスタシーなのか―房中術と密教に見る性の技法
第6章 なぜイスラム教は性を禁忌としないのか―預言者のことばから読み解くその実態
第7章 親鸞は本当に「愛欲の海」に沈んだのか―浄土真宗だけが妻帯を許された理由
第8章 神道に性のタブーはないのか―日本独特の道徳観と系譜
第9章 なぜ処女は神聖視されるのか―マリアとスンナに見るその意味
著者等紹介
島田裕巳[シマダヒロミ]
1953年東京生まれ。宗教学者、文筆家。76年東京大学文学部宗教学科卒業。同大学大学院人文科学研究科修士課程修了。84年同博士課程修了(宗教学専攻)。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を経て、東京女子大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
112
宗教は禁欲を旨としているからこそ、カトリック教会のように宗門内で性的スキャンダルが起こるのだと思っていた。しかしキリスト教と仏教では教義が発展する過程で聖職者の独身制が広まったからこそ宗教が権力集団化し、一方で性をタブー視しないイスラムは専門の聖職者階級が形成されなかった。つまり性に対する考えが世界の歴史を左右し、ナショナリズムや原理主義思想の母体となったのは宗教と政治の関係を考える上で重要な要素だ。人を救いたいとの願いから創造された宗教だが、最も敏感な問題である性への対応を巡り教えが歪んでしまったのか。2022/02/15
海月
78
一言で言うとくっそ難しかったです。自分的には宗教自体があまり興味ないくせに新刊ということで勉強がてら読んでみたらまぁ難しい。キリスト、イスラムまでは分かる。ユダヤ教ってなんだ?とか疑問がたくさんあっけどもこの本がなんとなくではあるけど解説してくれた(笑)それはさておき宗教と性ということでこんなにも宗教上の都合で性交などの行為が規制されてたのなんて知らなかったけども法律のない当時からすると宗教が全ての観点からいくと妙に納得した。もう少し宗教の勉強しないとダメだと感じました(笑)2022/05/25
へくとぱすかる
70
日本で教義にもとづく宗教といえば、仏教とキリスト教が思い浮かぶので、宗教は行為をともなう性を、避けるべきものと考えるものだとの思い込みがあるようだ。キリスト教であれば、その起源を原罪という考えに求められるという。しかし、たとえばユダヤ教やイスラム教にはそんな思考はないと聞いて驚いた。いかに自分が本当にはこれらの宗教を知らないかが、露呈してしまった気がする。生き物としての人間は生殖行為なしには滅びてしまうのだから、性と宗教の教えとの兼ね合いは、つねに時代とともに変化してきた。今後の宗教と性の動向は果たして?2022/02/16
樋口佳之
52
んー。新書の分量で様々な宗教と性の関わりを語ることは難しかったのでは。キリスト教ならキリスト教、仏教なら仏教だけで十分一冊になるお話なのではと思いました。大急ぎの講演会を聞いた時の気分に近いです。2022/10/10
クサバナリスト
14
各宗教が「性」をどのように捉えているかが語られる。イスラム教、浄土真宗、マリアの箇所が興味深かった。 ユダヤ教やイスラム教には原罪の観念なし。奈良時代授戒を行える戒師が不在だったが鑑真の来日により可能となる(それまでは自警受戒)。具足戒を授けられない出家僧は私度僧。南都六宗が独占した授戒体制を突き崩し、大乗戒壇(在家も可)をつくった(朝廷許可は最澄死後)。浄土真宗に授戒はない(戒名ではなく法名)。蓮如の最後の子供は83歳の時。2022/03/13