出版社内容情報
内容説明
一九八七年の綾辻行人のデビューから今日に至るまで、小説のみならず、漫画、映画、演劇、ドラマ、アニメーション、ゲームなどの他ジャンルにまで強力な影響を与え、日本文学史上における最大にして最長のムーブメントとなった「新本格ミステリ」を生み出した編集者・宇山日出臣。その宇山を愛し、宇山に愛された小説家や編集者らが彼の没後十五年を契機として集結し、「宇山日出臣」が成し遂げた仕事の世界を今ふたたび照射する!
目次
編集者・宇山日出臣の仕事と歴史(佳多山大地)
追悼文(いつまでも、仲間(赤川次郎)
真っ赤な人(浅暮三文)
フルスロットル(我孫子武丸)
富士が見える病室からの葉書(綾辻行人)
宇山さんのこと(新井素子) ほか)
弔辞(島田荘司+綾辻行人)
京都の新本格ミステリ四兄弟座談会(綾辻行人×法月綸太郎×我孫子武丸×麻耶雄嵩)
宇山日出臣をめぐるミステリ批評家座談会(巽昌章×千街晶之×佳多山大地)
『メフィスト』編集部OB編集者実名座談会(鈴木宣幸×野村吉克×唐木厚×太田克史)
再収録『メフィスト』編集者座談会1~3
著者等紹介
太田克史[オオタカツシ]
編集者・星海社代表取締役社長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
112
生前の宇山日出臣氏に一度お会いしたことがある。この人が新本格ミステリを生んだ伝説の編集者かと思うと、ひたすら話を聞くばかりだったのを覚えている。初めて見る作家の尖りまくった本が続々出ていた当時の講談社ノベルスは、まさにミステリ界の革命だった。その波を主導した宇山氏の下でデビューした作家や部下による、時には人間臭い失敗やトンデモ逸話まで集めた追悼文集は、本大好き人間が本を出す仕事を得た幸福な人間像をあますところなく描き出した好企画本だろう。にしても会った時に名刺を交換したはずだが、どこへ行ってしまったのか。2023/04/12
kokada_jnet
76
講談社の名物編集者・宇山秀雄氏の死去16年目の、異常に豪華メンバーの追悼本。新本格、『ショートショートランド』関係者等が大挙して執筆。宇山氏に見いだされた綾辻行人自身が「宇山さんは新本格とくくれるものではない」「宇山的な独自の感性・直観・美学」と書いている。ジャンル外の存在では大塚英志・白倉由美まで寄稿。私には、江坂遊「魔法学校の宇山先生」、野阿梓「宇山秀雄さんの想い出」がよかった。山口雅也が、自身はじめ多くの作家が、東京創元社に被害をうけたと書いているが。当人の戸川安宣氏も本書には執筆しているのだが…。2022/10/19
ぐうぐう
44
前代未聞の一冊だ。ひとりの編集者に五十人を超える作家達が追悼文を寄せる、しかも没後十五年経っての追悼文集だと言うのだから、何もかもが驚きに満ちている。それほどに宇山日出臣は破格の編集者であり、何よりも愛された人だったのだ。追悼文で多くの方が触れているが、商社に勤めていた宇山が中井英夫の『虚無への供物』を文庫化したい一心で講談社に転職したエピソードが物語るように、宇山は熱い人だった。『十角館の殺人』で綾辻行人をデビューさせたのは宇山の大きな功績のひとつだが、(つづく)2022/05/06
ハスゴン
42
名前だけは知っていましたが、こんなにも有名な作家さんに影響を与えていたのは驚くべき事でした。もちろん追悼文ですが、有名作家さんなら例はあるだろうけど、編集者さんの追悼文集は異例だし、相手が有名作家なので追悼ではあるが日本の近代ミステリを知る事が出来るので、少し値段はするがミステリファンには満足してもらえると思うが、唯一気になるのは対談の文字が小さく読みにくいです。2022/04/03
ばんだねいっぺい
27
たまたま手に取ったが珠玉の追悼文がズラリと並び素晴らしい読書となった。宇山さんという名伯楽がいたからこそ、名馬たちの走りやいななきを楽しめたのだということがわかった。2022/11/08