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内容説明
「魏志倭人伝」によると、卑弥呼の特使である難升米(なしめ)が洛陽まで約2000kmの航海を行ったという。耶馬台国が畿内の内陸にあった場合、彼らは本当に対馬海峡を渡ることができただろうか。またこの時代、瀬戸内海は航路が未開発であったため通ることができず、交易は主に日本海側で行われたと考えられる。当時の航海技術や地形に基づき、海人(かいじん)の身になって丹後半島の遺跡に身に置けば、鉄と翡翠で繁栄する「王国」の姿が見えてくる……。 さらに雄略帝の「瀬戸内海の航路開発」や応神帝の「海運業」、継体帝が拓いた「近畿水回廊」、「大化の改新」の陰に消された「倭京」などの謎を、港湾や運河の建造に長年従事してきた著者が技術者の「知」で解き明かす。ベストセラー『日本史の謎は「地形」で解ける』の著者、竹村公太郎氏も推薦!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fseigojp
23
この本の姉妹編、「鉄のみち」も面白い 継体天皇がいよいよ謎めいてきた2015/12/15
Porco
18
船を陸に上げて曳くルートまで含めて「海路」と考えるべきだというのは目から鱗。丹後王国や出雲王国、吉備王国などについて理解が深まりました。ちょっと想像力を働かせすぎなのではという気もしますが、とても面白かった。2017/01/04
TMHR ODR
4
時代が微妙に行ったり来たりで読みにくい。推論が多いとははじめに書いているものの、であると断定したり、だと思うとか思料すると書いたりで、何が事実で何が推論なのか分かりにくい。まず古代史の正論を知っておかないと読むのはキツイでしょう。 とはいえ、言っていることは面白い。古代に丹後や敦賀といった日本海交易が発達し、陸上で船を曳くことも踏まえ日本海には交易ルートが確立されていた、瀬戸内海は当時の技術では航海不能だったという説には、とても説得力があるなぁと思った。2015/11/06
Yappy!
3
農耕民の視点だけで日本の古代を見ると矛盾が解決しない・・・海路、海人の視点、海運、古代の重要事項をしっかりと見つめて、教科書やよくみる歴史ものと違った視点で古代を解き明かしていく。 面白いし、なにより丹後と敦賀には歴史から消された王国があったというのは福井の人間として楽しい。何よりも日本海側が、敦賀が大陸の玄関として言われる意味がこの本でよりしっくりくるようになる。 もちろん全てを鵜呑みにはできないけれど、一つの論拠として読む価値あり。 ただ文体がちょっと読みづらいのが残念。2015/05/06
ken
3
現代の住吉族というべき国交省の港湾計画の技術者による本。 定年サラリーマンの書いた本なので、細かいところは突っ込みどころはあるかもしれないが、具体的な海路の検討によって、様々な古代史の謎を解き明かしていきます。 大変興味深い本です。2015/04/19