出版社内容情報
目次
第1部 平成の章(警察小説化するポスト新本格―「日常の謎」から「クローズド・サークル」まで;作家・小野不由美ができるまで―「ゴーストハント」シリーズ(小野不由美)
純粋トリック空間はいかに実装されたか?―『少年検閲官』(北山猛邦) ほか)
第2部 昭和の章(批評メデイアは探偵小説の夢を見るか?―『批評メディア論 戦前期日本の論壇と文壇』(大澤聡)
明智小五郎、岐路に立つ―『明智小五郎事件簿2「一寸法師」「何者」』(江戸川乱歩)
「地平線」のさらに先へ―『顔のない肖像画』(連城三紀彦) ほか)
第3部 海外の章(架空(妄想)インタビュー三題
すべての道は…―エドワード・D・ホック追悼
水と油―『デイン家の呪い』(ダシール・ハメット) ほか)
著者等紹介
法月綸太郎[ノリズキリンタロウ]
1964年、島根県松江市生まれ。京都大学法学部卒業。在学中は京大推理小説研究会に所属。88年、『密閉教室』でデビュー。89年、著者と同姓同名の探偵が登場する『雪密室』を発表。2002年「都市伝説パズル」で第五五回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。05年、長編『生首に聞いてみろ』が第五回本格ミステリ大賞を受賞。「このミステリーがすごい!」2005年版第一位にも選ばれた。また11年発表の長編『キングを探せ』では、「2013本格ミステリ・ベスト10」の第一位に選ばれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
107
新本格派の作家で評論家としても一流なのは法月さんしかいない。その批評はどれも鋭い切り口でミステリの諸問題に切り込み、専門家よりも質は高い。本書も単純な書評集ではなく、深く考えなかったり読まずにいた諸作品を新たな切り口から巧みに腑分けしていく。あの複雑怪奇な『死霊』を死体なき殺人ものとして解析したり、今世紀初期の作家の模索から特殊設定系の発展を跡付けるなど研ぎ澄まされたナイフを見る思いだ。優れた批評を読めるのは嬉しいが、長編発表が久しく途絶えているのは淋しい限り。評論も区切りつけて本業に精を出してほしいが。2022/04/26
kokada_jnet
60
殊能将之、山川方夫、小林信彦という作家たち。ジャック・ヴァンス/スタージョンによるエラリー:・クイーンの代作について。これらのジャンル越境者について論じた文が、この著者にしか書けない内容で、印象深い。2022/01/10
ハスゴン
34
ぎっしり詰まった書評が読み応えあります。しばらくしたらまた読み返したいと思いますが、次は何を評論するのか気になります。2021/11/19
タカギ
26
論文を読んでいるみたいだった。私は書評が好きで、参考にするほうだと思う。中でも、専業の書評家よりちょっとファン心理の入った作家さんのそれのほうが好き。有栖川有栖先生や三浦しをん先生を頼りにしている。それらに比べると、法月先生はもっと専門家っぽい。北村薫先生に近いかも。深木章子、岡田秀文、竹本健治、山川方夫、福永武彦、筒井康隆が読みたいと思った。2022/01/10
本木英朗
22
日本の現役本格ミステリ作家のひとりである、法月綸太郎の評論集最新作である。小野不由美や殊能将之などが出てくる「第一章 平成」、江戸川乱歩、連城三紀彦などが出てくる「第二章 昭和」、そしてエラリー・クイーンやG・K・チェスタトンなどが出てくる「第三章 海外」まで、どれ度これも凄かったよねえ。まあ、俺には、第一章の大半の先生は読んでいなかったけれども、それも含めていいという感じだろうか。また折に触れ読もうと思う。2021/12/12