出版社内容情報
一穂 ミチ[イチホ ミチ]
著・文・その他
内容説明
「できること、やりたいこと」何もない―大阪の一流企業の受付で契約社員として働く柳生美雨は、29歳になると同時に「退職まであと1年」のタイムリミットを迎えた。その記念すべき誕生日、雨の夜に出会ったのは売れないお笑い芸人の矢沢亨。掴みどころのない亨、その相方の弓彦、そして仲間の芸人たちとの交流を通して、退屈だった美雨の人生は、雨上がりの世界のように輝きはじめる。美雨と亨と弓彦の3人は、変てこな恋と友情を育てながら季節は巡り、やがてひとつの嵐が訪れ…。
著者等紹介
一穂ミチ[イチホミチ]
2007年『雪よ林檎の香のごとく』でデビュー。劇場版アニメ化もされ話題の『イエスかノーか半分か』など著作多数。『スモールワールズ』(講談社)が、第165回直木賞候補、第12回山田風太郎賞候補となり注目を集める。同作収録の短編「ピクニック」は第74回日本推理作家協会賞短編部門候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
617
直木賞候補作『スモールワールズ』に続いて、一穂 ミチ、2作目です。タイトルと表紙のイメージと内容にギャップがありましたが、受付嬢と芸人の物語、面白く一気読みしました。最期にオチがあると思って読み進めたのですが、特にオチがないということは、続編もあるでしょうか? https://news.kodansha.co.jp/90202022/05/16
さてさて
565
『今舞台にいる人たちからは「好きなことをのびのびやっている」雰囲気を感じる』。”企業の受付に勤める29歳の美雨は、人生に惑い、未来にも漠然とした不安を抱えていた”という主人公の美雨が、『お笑い』に生きていく人たちと触れ合っていく様が描かれるこの作品。そこには、泣き笑いの人生を生きる人たちの物語が描かれていました。大阪の街の描写がとても魅力的なこの作品。『お笑い』の舞台裏に”お仕事小説”を見るこの作品。まさしく悲喜交々なストーリー展開と、物語中に登場するネタの塩梅に一穂さんの上手さを見た、そんな作品でした。2023/11/30
しんごろ
555
友達以上恋人未満というべきか、男と女の友情は成立するというべきか、さりげなく切なくもある世界観と人との距離感をどう表現していいのか…。出会いは突然やって来て、美雨の雨のような透明感のある素直な心が、亨はもちろん素敵な仲間と縁を結ぶのかもしれない。亨と出会って、美雨にとって本当に良かったと思う。逆に美雨と出会った人達は、美雨をほっとけない何かを見つけたのかもしれないね。1+1=3になるような人間関係に思えた。切なく思えたのは、安全ピンのネタのせいなのかもしれない。じんわりと余韻に浸れる物語だった。2022/04/10
射手座の天使あきちゃん
550
30歳になると契約更新してもらえない派遣の受付嬢・美雨、そんな理由で派遣切りして良いのか…?は置いといて ひょんなことから知り合ったお笑い芸人の亨やその仲間たちとシェアハウスでの新生活を始める 夢や感動の少なかった美雨の生活は慈雨を得た花のように彩りを取り戻していく 大きな事件も感動のエピソードも無いけど、なぜかほっこり温かい いいですね!(笑)2023/04/09
うっちー
498
恋愛のない恋愛小説でした2021/12/31