出版社内容情報
港とは、いつの時代でもその時代の生産力と流通システムの決定的な影響を受ける、いわば「歴史の鏡」である。本書は、横浜で港湾経済史を研究してきた著者が、古代から現代までの世界の港の発達と、それをうながす生産・流通関係などの歴史を、ひとつの「物語」として描いた「港から見た世界史」である。
人類史上、漁労から発生した港は、古代オリエントや地中海、また中国においても、権力者が所有する軍事的・政治的な場であったが、やがて商取引を行う「交易の場」として発展を始める。ビザンチウムからベネチアへ引き継がれた中世の経済的伝統、大航海時代のセビリアやリスボン、オランダ全盛時代のアムステルダムを経て、産業革命期のロンドンに全く新しい時代の港が現れる。内陸の工業都市の発達により、それまでの商人船主は貿易商人と船主に分化し、港は単なる船着き場としての「ドック」から、巨大資本と行政によって多くのドックが統一された「ポート」へと変貌するのである。さらに20世紀後半には、ニューヨークに代表される大港湾で、コンテナ輸送とコンピュータ・システムによる「海運の大革命」が起こっている。
巻末解説を、イタリアの港町や東京など水辺の都市史の研究を深めてきた陣内秀信氏(法政大学特任教授)が執筆。〔原本:朝日新聞社、1989年刊〕
内容説明
世界の港と生産・流通システムの発達を、ひとつの物語として描く異色の世界史。古代地中海世界に建設された軍港、中国の大河川に作られた津。ビザンチウムの経済的発展はベネチア、リスボン、アムステルダムへ引き継がれる。産業革命期のロンドンに全く新しい港湾空間が現れ、二〇世紀にはニューヨークで「海運の大革命」が起こる。
目次
プロローグ 未発達な港湾研究
1 古典古代
2 中国の古代水運と港湾
3 中世の谷間から
4 大航海の時代
5 アムステルダムの貿易と海運
6 インド・太平洋のライバルたち
7 偉大なるロンドン―近代港湾の成立
8 アメリカにおける発展―現代への展開
エピローグ 日本の港と現代の技術革新
著者等紹介
高見玄一郎[タカミゲンイチロウ]
1910年、福岡県生まれ。旧制浦和高校を中退し、日本国際問題調査会主査、京城日報社参事、論説委員を務め、戦後は神奈川新聞社論説委員、横浜市立大学講師を経て、1965年に港湾経済研究所を設立(1984年に横浜港湾経済研究所と改称)。米国NCITD名誉会員、日本港湾経済学会常任理事を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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氷柱
Mealla0v0
kuroma831
tokumei17794691
seu
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