出版社内容情報
中畑 正志[ナカハタ マサシ]
著・文・その他
内容説明
プラトニック・ラブからナチス、ネオコンまで…なぜプラトンの哲学は、人をざわつかせ、動かすのか?
目次
第1章 プラトンはどう書いたのか、プラトンをどう読むか
第2章 プラトン哲学の原点
第3章 自己と他者を変える対話
第4章 魂・徳・知の関係
第5章 変革へと促すイデア論
第6章 魂の分割―『国家』その1
第7章 哲学者と善のイデア―『国家』その2
第8章 プラトン、その後に
著者等紹介
中畑正志[ナカハタマサシ]
1957年、長野県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。東京都立大学人文学部助手、九州大学文学部助教授を経て、京都大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
150
前期中期後期と分類されているのでわかりやすい。同じプラトンにも多様な解釈が可能で、ナチズムを正当化するためにも用いられた。理想主義のプラトン、現実主義のアリストテレスという有名な2分は正確ではない。プラトンの書物に通底するのは疑問を持てということだった。ソクラテスの対話篇を通して議論が奨励された。疑問は自分の教えにも向けられるべきだと説いた。孔子、釈迦、キリストなど弟子たちによって教えを広められた聖人は歴史上いるが、自分の教えに疑問を持てというのは多くないようだ。2023/12/04
mana
40
本当に分かったのかどうかも分からない…。哲学ってそういうものだよなと。入門にしては、幅広い知識を扱っているのでやや難しめかなとも思うが、読み応え十分。読者に考えさせるための対話篇。イデア論、魂の三区分、善のイデアなどなど、基本的なものはきちんと押さえられた気がする。…気がするだけかもしれないが。2023/01/04
ころこ
38
イデア論の第5章で、イデア論に対置されるのはウィトゲンシュタインの家族的類似性だといったり、第4章でプシュケーやアレテーを論じるのにアリストテレスと比較したりと、全体の見通しを良くしようとする著者の工夫は新書の読者には情報過多だった模様である。内容はそつがない。第5章のイデア論と第6章の魂の3区分説を重ねて「はじめに」で言及されていた『国家』における善のイデアを論じることになり、例の「太陽の比喩」に辿り着くことになる。知識だけでなくちゃんと論じてあり、文字通りの知の反省と変容になっている。2022/10/16
プランクマン
17
本当に初めて読むには難しいけど、ジャンルとしてそういうものだと思うしか。 何の前提知識も持たずにプラトンを読んでも挫折するか、文字を追って終わるだろうから、例え著者の思考(思い)が入ってしまうとしても、私のような初心者にはとても有り難い内容である。 いつもながら知識、キーワードとして自身の蓄積は感じられるが、そういうもんじゃないなと思う。2021/07/14
かんがく
13
一番最初の対話篇という形式に関する考察は面白く読んだが、途中で完全に論点を見失った。魂、徳、善、イデアなどが主要テーマになっていることはわかったが、それに対するプラトンの立ち位置というものがよくわからないまま終わってしまった。2022/10/15