出版社内容情報
バーナード・ルイス[バーナード ルイス]
著・文・その他
加藤 和秀[カトウ カズヒデ]
翻訳
内容説明
十字軍など敵対者を暗殺することも厭わない信徒集団ニザール派。イスラームのシーア派イスマーイール派から十一世紀末に分派した彼らは、やがて神秘主義的な狂信者集団「山の老人」「アサシン」などとして伝説的に語られるようになった。その歴史実像を、イスラームについての基礎知識とともに鮮やかに説く、欧米で読み継がれる基本書。
目次
第1章 アサシンの発見
第2章 イスマーイール派
第3章 新教説
第4章 ペルシアにおける布教
第5章 山の老人
第6章 手段と目的
著者等紹介
ルイス,バーナード[ルイス,バーナード] [Lewis,Bernard]
1916‐2018年。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院卒業。イギリス外務省勤務ののち、ロンドン大学教授、プリンストン大学教授。同大学名誉教授。専攻はイスラーム・中東史
加藤和秀[カトウカズヒデ]
1941‐2006年。北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
62
911でアメリカが攻撃された時、暗殺で悪名高いイスラム教ニザール派が復活したかと思った。この異端教団については岩村忍著『暗殺者教団』でひと通り知っていたが、本書では教団の歴史のみならず岩村本は軽く触れる程度だった教義について詳細に解説する。文学や漫画に登場する秘密結社のモデルとなったニザール派だが、戦争が政治の一手段ならば暗殺も政治の一手段だとの考え方を取り入れたのか。どの国や宗教でも現実への不安と怒りから敵対者を殺そうとする過激派が出るのは必然であり、イスラムでは彼らという形をとって噴出しただけなのか。2021/05/14
MUNEKAZ
14
「アサシン」の語源にもなったイスラーム史上に悪名高いニザール派の概説書。シーア派から分かれたイスマイール派の、そのまた分派というニッチな一派らしく、生き残りのためスンニ派への暗殺を起こしまくりの内容でなかなかハード。イメージに相反して十字軍に対しては受動的で、あくまでイスラーム内での主導権争いがメインなのが面白い。カリフの権威が衰え、十字軍、モンゴル帝国と外部勢力の侵攻が相次いだ九~十一世紀のイスラーム世界だからこそ、こうした小勢力でも政治テロの繰り返しで生き残れたのかも。2021/05/30
筑紫の國造
11
いわゆる「アサシン」の語源となったとされる、イスラム教シーア派イスマイール派のさらに分派であるニザール派についての書籍。イスラム史の権威による研究ということだが、まあ何とも読みづらい。原文がそうなのか、それとも訳が悪いのか分からないが、周りくどくて頭に入ってこない。イスラム教の知識がいるのもあるのだろうが、それにしたって分かりづらい。以前岩村忍『暗殺者教団』も読んだが、それも同様に分かりづらかった。興味はあるのだが、これではきちんと理解できない。2024/11/08
ふたば
10
タイトルに引きずられ過ぎて、頭が切り替えられず、内容を把握しきれなかった。イスラム教の歴史については、非常に難解で、懇切丁寧な講義をつけてじっくり学ばないと(それでも)理解できないだろう。。。 読み返す気力があればまた読もうと思う。2021/04/03
すいか
3
イスラーム教の少数派の一つイスマーイール派の通史だが、巻末の解説で「オリエンタリズム」と一刀両断されている。確かにロマン主義文学を思わせる流麗で饒舌な文章で、西欧オリエンタリズムに基づく歴史物語として読むべきか。解説で簡潔に概観されているイスマーイール派の流れを先に読んだ方が分かりやすいかも。しかし、シーア派の成立に端を発し、イスラーム教の分派は全て教義対立ではなく血統主義に基づいた正統性争いによるというのが興味深かった。イスラーム教そのものに内在する特性というより西アジアの部族社会の伝統なのだろう。2021/08/20
-
- 和書
- 野村ノート 小学館文庫