出版社内容情報
九野薫。36歳。本庁勤務を経て、現在警部補として所轄勤務。7年前に最愛の妻を事故で亡くして以来、義母を心の支えとしている。不眠。同僚の素行調査を担当して逆恨みされる。わずかな契機で変貌していく日常を絶妙の筆致で描く犯罪小説の白眉。
内容説明
夫への疑念が深まり、いたたまれない恭子は、仲間に誘われた会社との「団体交渉」にのめりこんでゆく。放火の容疑者を追う九野は、容疑を確信しつつ逮捕にこぎつけられない。心がぎりぎりまで追い詰められた二人の中で、何かがついに決壊する―。日常に潜む極限状況を鮮明に描く傑作。大藪春彦賞受賞作。
著者等紹介
奥田英朗[オクダヒデオ]
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。第2作『最悪』がベストセラーとなる。続く『邪魔』が大藪春彦賞を受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遥かなる想い
103
下巻に入り、九野と恭子の状況はさらに悪化する。恭子の夫は 本当に 放火をしたのか? 瀬戸際に追い込まれた主婦恭子の肝の据わり方が潔い…ギリギリまで 追い詰められた二人の心が決壊する様が、丹念に描かれる…そんな 心理小説だった。2023/10/11
金吾
31
○主人公二人がどんどん狂乱の世界に入っていく様を怒涛の勢いで読んでしまった感じです。(花村刑事は最初から狂乱してます) 裕輔たちも含め歯車が狂っていくのがよく伝わりました。2024/01/18
てんてん
16
★★★★4.5 単行本で読了。誰が誰にとって邪魔なのか、考えてみたら邪魔者だらけ。恭子にとって、とうとう夫が邪魔者に。でも恭子さん、結局こどもたちまで邪魔ってことになってしまったんじゃないの。がんばる恭子さんを結構応援してたんだけどな。結末は破滅的でした。やっぱり面白い奥田作品デス。2023/11/27
つぐみん
16
上下巻の長編。放火事件をきっかけに、夫婦の人生がどんどん堕ちて行く。パートタイムの問題、いじめ、警察の思惑…さまざまなものが絡み合って、たった一つの事件が複数の事件を生み出す。そして転落していく人生。なぜこうも悪い方にいってしまうのだろう、と後半は苦しくなった。それなのに、ラストはなんか呆気なく終わってしまった印象。登場人物たちのその後が全く予想できない終わり方だった。2022/08/08
ゆきこっち
15
最後の最後まで救いがなかった。2023/04/13
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