出版社内容情報
謎めいて美しい兄弟を取り巻く死。長編推理
女性家庭教師が黒髪を、従兄とその母は眼と爪を奪われて死んだ……
黒髪を切られ変死した女性家庭教師。そして従兄とその母親も眼球と爪を奪われて死んだ。謎めいたほどに美しい兄弟のまわりに次々と起こる奇怪な死。遠い記憶の闇のなかから湧き上がってくる“囁き”が呼び醒ますものは何か。『緋色の囁き』に続く異色の長編推理“囁き”シリーズ第2弾!!
内容説明
森の狭間に建つ白亜の洋館。美しく謎めいた兄弟・実矢と麻堵の周囲で相次ぐ奇怪な“死”。ある者は髪を、ある者は眼球を…奪われた死体の一部分は何を意味する?兄弟がひた隠すもうひとりの少年「あっちゃん」の秘密とは?恐ろしくも哀しい真相が胸を打つ「囁き」シリーズ第二弾、完全改訂の決定版。
著者等紹介
綾辻行人[アヤツジユキト]
1960年京都府生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院修了。’87年に『十角館の殺人』で作家デビュー、“新本格ムーヴメント”の嚆矢となる。’92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。’18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キナコ
58
山荘での悲しいストーリー。美しい兄弟愛といえば聞こえはいいが、閉鎖・隔離されたなかでの子供の情緒教育の歪みが伝わってくる。隔離された世界観だけで完結出来なかった悲劇。また別の作品にも少なからず関わっていることにあとがきで知って驚いた。 互いを理解しようとしない大人と子供。どっちがいいのか…2023/09/05
綾@新潮部
38
序章で「え?こっち系?」とまずは驚く。各章の最初にある子供たちの会話部分と囁き部分が怖さを誘ってくる。美しい少年の兄弟、実矢(みや)と麻堵(まど)そして2人がひた隠しにする「あっちゃん」とは?白亜の洋館や湖や森林などの描写がとても美しいため、残虐であろうシーンがなぜかあまり恐れることもなく読めてしまう。美少年兄弟のおかげもあるのかな。真相も気になりほぼ一気読みだった。そしてこれは間違いなく「殺人鬼」も読みたくなる流れでは?読んだの20年前だからなぁ……また読みたい。2021/05/24
yosa
31
ミステリを読み始めたのは島田荘司がきっかけだとしても、どっぷり沼に浸かってしまったのは綾辻行人からだ。だからか今読んでもやはり頗る面白い。「好き」が詰まっているというか、ここから私の「好き」が生まれたのだろうななんてしみじみと思います。なにせ今読んでもドキドキしっぱなしだ。怪しげな描写のあれもこれもが心を揺さぶり、怖さと好奇心の間を行ったり来たり揺れ動いて興味を引きつけられ、結末に辿り着いた時の充足感たるや何物にも替えがたいものがあります。本格というよりもホラーテイストが強く感じられるものの、やはり傑作。2021/11/04
ひろ
29
囁きシリーズ2作目。血腥い事件の断片的な映像で幕開け、読者は訳も分からぬままに放り出される。山中の屋敷に暮らす美しい兄弟を中心とする怪しさに満ちた物語を、じっくり咀嚼しながら読み進む。語り手の視点を幾度も移動させつつ、真相に迫っていく構成が面白い。綾辻作品に特徴的な括弧書きで挟まれる謎めいた文は、初期からあったのだと知る。ミステリとしての仕掛けに大きな驚きはなかったものの、全体を通した空気がとても好き。悲しく静かな結びに、充実した心地で本を閉じた。2022/10/18
達ちゃん
25
囁きシリーズ2作目はなかなかミステリアスな展開。いつの間にか引き込まれてあっという間に読み終わりました。2023/12/28
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