内容説明
大学進学に伴い、引っ越したアパートには悪霊が棲んでいた。霊に刺殺された灰原雅人は死の直前に巻き戻る。部屋に入れば殺される―。しかし男たるもの寛容さも必要だ。殺されたくらいで逃げるようでは大学生は名乗れない。かくして灰原は女の霊と同居を始めた。死と隣合わせの毎日で、彼女の事情を解決すべく。これは赤の他人の幸せを追い求める、“時をかける馬鹿”の物語。
著者等紹介
佐藤悪糖[サトウアクトウ]
愛知県生まれ。2018年、第1回「HJネット小説大賞」受賞作『Myrla“ミルラ”―VRMMOでやりたいほうだい』(HJノベルス/悪糖名義)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うまる
33
笑いあり涙ありの青春死に戻り物語。ただ目の前の人に笑ってほしいから頑張る、それが青春!何度刺されてもめげない時をかける馬鹿大学生話に笑った後は、不幸な女子高生が人生を諦めるまでの話に切なくなる。その交互の展開がどこに収束するのかの謎と、全ては一つのルール「幸福には総量がある」に基づいてい起きているという所がミステリ要素でとても面白かったです。文体もポップで楽しく、特に"にゃんにゃんした"の件は爆笑。本1冊で起こるループ回数はギネスだと思われます。大学生コンビのパラレルな話の別本があるみたいなので絶対読む!2021/03/13
秀玉
20
失礼な言い方だが素人が書いたのと思うぐらいの内容。だが意図してこんな書き方(初めて小説を書くような)をしているのか?何しろ良くわからないし、わからせない出足。読み終えて、主人公の超絶バカ正直ぶりと何も考えない一途な行動力はわかったが、ではなぜそんな人格が出来上がったのかが不明。小説は最後に、あ、そうだったのかはお約束事だが、それも付箋があっての話。付箋がわかりずらく下手。単なるうけねらいか、会話も成立していない。だが読み進める何かがあるのは確か。読み進めているのも事実。ディストニー小説だが運命に逆らう話。2022/07/13
サキイカスルメ
16
大学進学で引っ越したアパートには殺意満点の悪霊と、謎のサンタクロースがいた。サンタクロースの力で何度死んでも立ち上がる不屈のおバカ灰原が、絶望していた少女たちを救うと決めたお話。灰原が自分を語らない主人公なので、誰かの幸せを願うことは悪いことじゃないを筆頭に彼の言葉から考えるに、彼の行動に理屈なんかないし、目の前のものを救いたい自分の勝手でしかない、なのかなと思ってその無鉄砲な優しさが好きでした。まぁ、命は大事にしてほしいけれどもね。主人公は灰原、主役は幸せの総数に振り回され続けた彼女たちという印象です。2024/12/26
彩灯尋
15
引っ越し先の部屋に入ると悪霊と成り果てた黒い女から殺される。なぜ女は殺してくるのか、タイムリープを繰り返しながら解決に迫る。シリアスな空気感の中にニヤッとさせる文章を入れてくるバランスがちょうどよく、重みに押しつぶされずに読み進めることができた。読み終わるとタイトルが秀逸なことに気づく。面白かった。2023/01/25
よちたか
13
前作と同じ舞台設定、同じキャラで、ノリも同じ。例えるなら、まどマギの世界観に井上堅二的馬鹿キャラがやってきて、馬鹿をやりながら絶望に打ちひしがれた魔法少女とかループ少女を救っちゃうお話。自意識拗らせた馬鹿な大学生達のシンプルな行動原理が非常に清々しい。正直なところ、ストーリー的にもう一捻り欲しいとか、構成を工夫してもう少し分かりやすく書くべきとか、気になるところは多々あるのだが、馬鹿が馬鹿やって全部ひっくり返す爽快感と、馬鹿ゆえに我が道を行く最後の決別の切なさが独特の作風を生んでいて、そこがお気に入り。2021/03/10