出版社内容情報
横尾 忠則[ヨコオ タダノリ]
著・文・その他
内容説明
高校を卒業したら、郵便局に勤めるつもりだった青年が、偶然の出会いや、多くの出来事に導かれて芸術家になる。言葉や文字などの観念的なものよりも、肉体的、感覚的なものから受ける刺激を信じ続けてきた画家が無心に「言葉を離れる」境地で、想定外の半生を交えて伝える「魂の声」。講談社エッセイ賞受賞作。
目次
宿命に気づく時
肉体が感得するもの
鍵の在処
観察の技法
波乱の始まり
想定外の連続
買書の心得
三島由紀夫の霊性
地獄と天国のジェットコースター
インドからの呼び声
小説と画家宣言
「ディオニソス」の饗宴
ラウシェンバーグの軽やかな芸術
滝のひらめき
運命を手なずける
映画の手がかり
少年文学の生と死
言葉を離れる
自分の中の革命
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
61
エッセイですが、読み解くことが難しいと感じました。「少年文学の生と死」の中で、感性を捨てることについて書かれています。芸術は感性だけでは成立しない。感性を捨てることで普遍性に到達できると書かれています。この言葉、凄いと感じました。全体的に難しい内容にも思いましたが、三島由紀夫、黒澤明とのエピソードなど興味深い部分もあります。2021/01/23
100
35
ホットゾーンを買いに行ったつもりが衝動買。横尾忠則による自身からの言葉の排除の奮闘記。横尾さんはスタンド使いだった…2021/01/11
あーびん
27
読書には無関心な少年時代を送ってきたという著者。『金閣寺』には無駄な苦痛の時間を味わわされたとボロクソに言いつつも、三島とは通ずるところがあったようで三島との出会い~自決までの回想が印象的。言葉よりも感覚や行動が優位なのはやはり芸術家っぽい。2022/02/12
ゆうすけ
7
名前は勿論知っていましたが一体何者なのかよくわかっていませんでした。で本書を読んでますますわからなくなりました。NYでピカソの絵を観てグラフィックデザイナーから画家に転向したエピソードが出てきますが小説も書いているし舞台芸術もされているそうです。読書からの経験ではなくては直接人に触れることによって得られるもの、それは本能とでも呼べばいいのでしょうか。芸術家にとってはまさに「言葉を離れる」ことで自由に創造的になれる部分があるということか。どこまで理解できたのか心許ない部分はあるが非常にレアな読書体験でした。2021/03/07
オムロン
6
生涯見た映画をシュレッダーで裁断して、もう言葉は聞けない、その印象的場面の色の断片しかわからない。そんなイメージを繋げて映像にする。横尾さんが頭の中でそんな映画を妄想している。このシーンがp193の8行目から3ページ続くですが、これが本のハイライトです。2021/09/18