内容説明
櫛職人の又五郎は「お笑い」好きの粋な旦那衆が揃う“噺の会”の下っ端ながら、大坂からやって来たお笑い芸人を向こうに回し、ここでやらなきゃ江戸っ子の名折れとしゃしゃり出る。が、急ごしらえの寄席はたった五日で店仕舞い。自分のあまりの不甲斐なさに江戸の街を飛び出した又五郎、百戦錬磨の芸人たちが集う街道沿いの宿場町、越ケ谷・松戸で揉まれて丸二年。修業の末にようやく掴んだ前代未聞の即席芸“三題噺”で一世一代の大勝負に打って出る!
著者等紹介
吉森大祐[ヨシモリダイスケ]
1968年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。大学在学中より小説を書き始める。電機メーカーに入社後は執筆を中断するも、2017年「幕末ダウンタウン」で小説現代長編新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
66
カバーイラストがイケメンすぎるやろ、と思いつつ読み始めたけれど、実際に初代可楽はイケメンだったんですね失礼しました。江戸で初めて商業ベースにのる寄席を作り三題噺で人気を上げハナシカという職業を確立した三笑亭可楽の話。最初はスベッて失敗して悶々としてもすぐ立ち直る可楽のキャラがいい。初代林家正蔵と三遊亭円生の三人の友情のようなものもいい。あまり登場しないけれど妻の於奈津の迷いのなさも好きだ。山椒は小粒でもピリリと辛い…って可楽は小粒じゃないだろうよ。2020/12/09
fwhd8325
66
ほぼ伝えられている通りの初代可楽の物語。とてもテンポがよく楽しく読むことができました。可楽は名跡で現在も引き継がれています。初代は、三題噺の祖と言われています。この著書にも三題噺誕生のエピソードが描かれています。演芸がブームとなり、このような作品に出会えたことは、とてもうれしいです。寄席では江戸の風が吹くと形容されますが、この著書は、まさしく江戸の風を感じさせてくれる。粋でいなせ、そんな言葉がしっくりきます。2020/10/06
kei302
63
表紙のイラストの雰囲気のまま、サクサク読める。 江戸に落語のプロを根付かせた三笑亭可楽や当時の出来事をもとにした話。 テンポよく進んで、明るい気分で読み終わる。改行多過ぎ。2021/01/06
fuku3
19
2020年12月21日読了。吉森大祐氏初読み。寛政10年(1798)櫛職人の又五郎は下谷稲荷で江戸で初の寄席を開いた!寛政の改革のご時世!公序良俗の風紀を乱すとして小噺等はご法度であった!又五郎は自分の未熟を憂い府外に修行の場を求め越ヶ谷、松戸で精進し多くの仲間に出会い、水戸徳川筆頭家老から三笑亭可楽の名を頂く!寛政12年可楽は再び江戸で一座を旗揚げした!可楽独自の三題噺を江戸で初披露し大喝采を浴び江戸中に可楽の名が広まった!可楽の代名詞、三題噺はその難しさ故、死後50年間封印され明治まで誰も行わない! 2020/12/21
高橋 (犬塚)裕道
9
星4.5。初代三笑亭可楽のお話。面白そうだと手に取ってみたがこんなに面白いとは思わなかった!大変満足!2021/10/13