出版社内容情報
「文学少女」シリーズの野村美月、待望の最新作!
忘れたい人は、いますか。
忘れられたい人は、いますか。
静乃の優しすぎる恋人、誠が突如失踪した。職場に連絡すると彼は一年前に亡くなっているという。では、彼は一体誰だった?
静乃の脳内に存在する、自分のものではない思い出。これは人の記憶が綴られた書物を売買する、うたかた堂の仕業か。記憶に浮かぶ海を、静乃は目指した。冷めた目をした美貌の青年が書物を繙くとき、心に秘めた過去が、秘密が、願いが、解き明かされる!
内容説明
静乃の優しすぎる恋人、誠が突如失踪した。職場を訪ねると、彼は一年前に亡くなっているという。彼は一体誰だったのか…?静乃の脳内に存在する、自分のものではない思い出。これは人の記憶が綴られた書物を売買する、うたかた堂の仕業か。記憶に浮かぶ海を、静乃は目指した。冷めた目をした美貌の青年が書物を繙くとき、心に秘めた過去が、秘密が、願いが、解き明かされる!
著者等紹介
野村美月[ノムラミズキ]
2001年、『赤城山卓球場に歌声は響く』で第3回ファミ通エンタテインメント大賞(現・えんため大賞)小説部門“最優秀賞”を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
147
『記憶とは、魂という名の書物に記された個々人の物語だ』。『記憶』というものを題材に展開するこの作品。6つの短編が連作短編を構成しながら展開していきます。そこには、極めて読みやすい物語の中にさまざまな人にとって『記憶』とは何かを改めて考えさせられる先の物語が描かれていました。主人公となる人物の多彩さに、誰かの物語にはハマるものが見つかるであろうこの作品。サラッと展開する物語が気軽に読めもするこの作品。『「ひと」の記憶が売り買いできたら』という、突拍子もない発想の先に、なるほどね、と感じた、そんな作品でした。2024/07/26
よっち
50
突如失踪した静乃の優しすぎる恋人・誠。職場に連絡すると意外な事実が判明し、冷めた目をした美貌の青年・うたかた堂との出会いによって、心に秘めた過去や秘密、願いが解き明かされてゆく物語。姿を消した恋人の正体、うたかた堂が婚活で出会った一組のカップル、女優・乃木坂カレナとの関係、友人あけるの初恋の結末、おじいちゃんと孫の約束。記憶を代償に人々の大切な願いを叶える謎の青年・現野一夜は、最初は掴みどころのない人物に思えましたけど、不器用な彼が導いてゆくほろ苦くも優しい結末、そして現野自身の変化が印象的な物語でした。2020/07/20
稲荷
40
記憶をいいように操作して手に入れるのは本当の幸せなのか、何事であろうと覚えているのが正しいのか、難しいところ。どうなのかはその人次第。登場人物それぞれの事情があって、最後まで楽しめた。2020/12/09
た〜
33
ミステリー作家が締め切りに追われるというか、締め切りをぶっちぎって担当から催促されまくる話。野村美月にしては珍しい連作短編集。良くも悪くもとても野村美月らしく、全然野村美月らしくない。これはシリーズ化されるのか? ところで、ひまりさんの続きはどうなった?2020/07/23
harupon
27
不思議な物語。短編6話。記憶の売買をする青年現野一夜。女優が役作りのために記憶を交換する話、可笑しいけど名案だと思った。祖父と孫の「登山の記憶」のやりとりも良かったなぁ。2022/02/03