出版社内容情報
この数年で、「ホスト」および「ホスト業界」は激変した。かつての影のイメージは消え、若いイケメンたちが明るく接客をする「ホスト=会えるアイドル」という華やかな世界となった。
今回の「ホスト万葉集」は、そんなイケメンたちが、なんと、五・七・五・七・七の短歌で、恋愛や悩みや欲望、そして普段見せない本音を明かした作品集である。短歌を作ったのは、歌舞伎町に6店舗のホストクラブがあるSmappa! Group(スマッパ!グループ)の代表・手塚マキ氏と、在籍ホスト・スタッフ75人。2018年夏、同グループが経営する書店「歌舞伎町ブックセンター」での短歌集発売記念イベントで、即興でホストたちが短歌を作ったのを発端に、ほぼ月イチで短歌を作って評価し合う「ホスト歌会」を開催するようになった。
歌会には、選者として、俵万智氏、野口あや子氏、小佐野彈氏という歌壇で活躍する歌人が加わるようになり、短歌が格段に上達。NHKBS番組「平成万葉集」でもホスト歌会が紹介された。2018年8月から2020年5月まで、ホスト歌会の開催は20回を超え、発表された短歌は900首を超えた。そして、いよいよ出版しようという矢先の、コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言。歌舞伎町が最大の危機に見舞われる中、ホスト達はそれでもなおZoomを使って歌会を続けた。全900首から、俵・野口・小佐野各選者が選んだ300首を収録!
(おもな短歌作品)
最終日LINE開いて文字打てず知りすぎた君にもう頼めない
嘘の夢嘘の関係嘘の酒こんな源氏名サヨナライツカ
長い長いLINEを姫に書いている八月三十一日の夜
エレチューで誤魔化してきた関係性出口見えない色恋営業
初指名マダムと出会いラブホテル気づけばケモノ姫四十八
ドンペリを姫から頂きうなぎご飯売り掛け飛ばれふりかけご飯
あと十万届かなかったナンバーワン全然減らないオーパスワン
「ごめんね」と泣かせて俺は何様だ誰の一位におれはなるんだ
内容説明
月イチで開いた「出勤前歌会」から、コロナ下のZoom歌会まで。2年間で作った短歌900首から、300首を厳選。
目次
はじめに―スマッパ!グループ会長・手塚マキ
「歌舞伎」に来た
初指名―1年目
姫と一緒に―2年目
泣かないで―3年目
シーソーゲーム―5年目
ラストソング
だけど、I〓歌舞伎町
著者等紹介
手塚マキ[テズカマキ]
1977年、埼玉県生まれ。97年から歌舞伎町で働き始め、ナンバーワンホストを経て、26歳で起業。現在は歌舞伎町でホストクラブ、BAR、飲食店、美容室など十数軒を構える「Smappa!Group」会長。歌舞伎町商店街振興組合常任理事。NPO法人グリーンバード理事。JSA認定ソムリエ。ホストのボランティア団体「夜鳥の界」を仲間と立ち上げ、深夜の街頭清掃活動をおこなう。17年歌舞伎町初の書店「歌舞伎町ブックセンター」をオープンし、話題に。18年には接客業で培ったおもてなし精神を軸に介護事業もスタート
俵万智[タワラマチ]
1962年大阪生まれ。280万部という現代短歌では最大のベストセラーとなった歌集『サラダ記念日』の著者。同歌集で現代歌人協会賞を受賞。ほかの歌集に『プーさんの鼻』(若山牧水賞受賞)、などがある。近著『牧水の恋』で宮日出版大賞特別賞受賞。読売歌壇選者も務める
野口あや子[ノグチアヤコ]
1987年岐阜県生まれ。短歌新人の登竜門「短歌研究新人賞」を、寺山修司以来の十代で受賞。2010年に第一歌集『くびすじの欠片』で現代歌人協会賞を受賞し、最年少記録を作った。人工知能歌人(AI歌人)への短歌アドバイザーなど活動の幅を広げ、2019年、短編小説「ジュリアナ様」が「小説新潮」に掲載され、小説家デビュー
小佐野彈[オサノダン]
1983年東京生まれ。国際興業グループ創業者の小佐野賢治は大伯父。1990年、慶應義塾幼稚舎に入学し博士課程に至るまで慶應義塾に学ぶ。台湾に在住し抹茶カフェチェーンを経営。同性愛者であることを公表している。2017年短歌研究新人賞を受賞。2019年に第一歌集『メタリック』で現代歌人協会賞を受賞。2019年、新たな表現者を顕彰する「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」受賞。また、2019年、中篇小説『車軸』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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