出版社内容情報
『おはようございます。実況はわたし、出席番号三十三番、綿野あみがお送りいたします。』
ひそかな趣味は脳内実況!そんなわたしがなぜか生け花部に……。2019年度中学入試最多出題作『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』で講談社児童文学新人賞受賞のこまつあやこ氏、待望の2作目。
ユーモラスで爽やかな青春小説!
「あ、いえ、そうじゃなくて、生け花ってふつう……」
女の子がやるものじゃないんですか?
その言葉が喉(のど)から出かかってわたしははっとした。
【実況ってふつう男性がやるもんだろ】
むかし、おとうさんが早月ちゃんに向けた言葉が蘇る。
ダメだ。同じようなことはいいたくない。──本文より。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
future4227
75
待望のこまつあやこさん2作目の作品。前作は短歌とマレーシアの異文化融合だったが、本作ではベトナムと生け花のコラボ。女子中学生が主人公で、優しい先輩がいて、ちょっとした恋ばながあって、という展開は前作と似てる。これがこまつさんの作風になっていくのかな。こまつさんのお話にはムカつく人が一切出てこないのもいい。読んでいて全く不快感がない。クライマックスの生け花ショーの場面では、生け花の作品が目に見えるようで、文章表現もさることながら、主人公の実況もナイス。3作目も日本の伝統文化シリーズで書いてほしいな。2021/01/16
ぶんこ
62
小学生の時に、応援する気持ちで話したことが曲解され、仲間外れになってしまったあみさん。クラスにいづらい時、従姉妹の早月さんに教えてもらった脳内実況。周囲をよく観察しての実況をするうちに寂しさを克服。中学で廃部寸前の生け花部に入り、そこで出会った城先輩、カオ先輩、同学年のマイちゃん、生け花を教えてくれるのは国語教師の野口先生。この素敵な仲間と共に楽しい学園生活をするおっちょこちょいのあみさん。生け花は引き算の美学。余計なものをはいして風通しの良い美が生まれる。あみさんも心に引き算で風通しよくなって万々歳。2022/01/03
Nyah
59
脳内実況が趣味のあみ。『おはようございます。実況はわたし、出席番号三十三番、綿野あみがお送りいたします。』何かあるとつい実況を始める。勢いで入った生け花部。何かできないかと文化祭で実況付き生け花ショーをする事に。『脳内実況をお聞きのみなさんにはお話しいたしましょう。生け花と実況は似ているところがあるんです。え、どこがって?一本一本の枝をよく観察して、その枝の良さを引き出そうとする生け花。一人一人をよく観察して、その人の魅力を伝えようとする実況。ほら、ちがいは枝か人かってこと。目指すところは似ているのかも』2022/06/04
優希
54
テンポよく読むことができました。主人公のあみは脳内実況という変わった趣味を持っているのが意味深です。メインは入部した生花部の話になるので、生花について興味が湧いてきました。生花について勉強になった気がします。2021/09/02
みっこ
39
YA。『年下のセンセイ』から生け花つながりで手に取りました。こちらはひょんなことから生け花部に所属することになった、中一のあみちゃんが主人公。最初はとっつきにくかった部員たちも、一歩踏み寄れば意外な一面が見えてくる。辛い状況にいるときその場を実況するっていい方法ですね。お花の名前や七十二候に詳しい中高生というのも素敵。春の花が咲き乱れるこの季節、お花の名前を意識して覚えたいなと思いました。作者の方初めて知りましたが、同じ年と知り親近感!デビュー作も読んでみたいです。装丁も可愛い!2022/04/10