内容説明
衰退する少弐家を支えるも、佞臣に謀られ、息子らを殺される龍造寺家兼。一向一揆を迎え撃つ老獪な朝倉宗滴。老いても重用されぬ宇佐美定満が上杉政虎に軍師として認められた川中島の戦い。息子晴信の謀叛により逐われた武田信虎の末路。戦国時代、主家のために奔走する、気骨ある武将の生き様を描く作品集。
著者等紹介
吉川永青[ヨシカワナガハル]
1968年東京都生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。2010年「我が糸は誰を操る」で第5回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞。同作は、『戯史三國志 我が糸は誰を操る』と改題し、翌年に刊行。’16年『闘鬼 斎藤一』で第4回野村胡堂賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とん大西
121
死に時を逸したか、死に花を咲かす為か。いや、老いてなお益々盛んな強者供。龍造寺家兼、朝倉宗滴、宇佐美定満、長野業正、武田信虎、島左近。お初な武将もあってなかなか渋めの面々。が、読ませる魅せる。家兼の意地の起死回生、宗滴の飄げた謀略、宇佐美の純朴と闘志…。還暦をとうに過ぎた老骨がしなり、戦場往来の魂が吠える。秀吉や信長のような華々しさはない。だが、その舞台裏、主家の礎たらんと武人の生を全うした彼ら老侍が切なくも麗しい。三成との友情を描いた左近の「過ぎたるもの」が激アツ。ですが全編どれも読応え大の良作でした。2020/11/24
岡本
90
Kindle。戦国時代の老将達を主人公に据えた短編集。動乱期に武将として長生きして現役でいる6名は正に老練であり敵を巧みに翻弄する。しかし若手の台頭、周囲の妬み、老いによる焦り等により様々な決断を迫られる。若い武将には見られない展開が面白い。2023/10/16
けやき
41
歳を重ねても戦いに身を投じる武将の生き様を描いた短編集。龍造寺家兼、朝倉宗滴、長野業正、宇佐美定満、武田信虎、島左近の6人。長野業正と武田信虎を興味深く読んだ。2020/12/21
まさ
28
老侍――年を重ねるからこそ身につくもの、したたかさだけではなく、若者のような爽やかさも「らしさ」として感じられる人物が多いから読後感もよい。しがみつく人生もよいが、爽快感は潔さでもあるからか。遺すものはあっても後ろ髪ひかれるものがなくなると、自分が描く素敵な老侍になれるのかな。2020/07/23
らいおねる
13
戦国時代に【老】になるまで生き抜いてる時点で一廉の人物でありますね。人選が拘っていてある程度有名な武将から竜造寺家兼など戦国シミュレーションで名前しか知らない人物のエピソードや生き様が書かれてるのは知識欲が満たされます。2023/01/06