内容説明
ぼくは空っぽなんかじゃない好きなものや、愛すべき小物たちを、こんなに持っているんだもの。ぼくの記憶と感情が寄り添うもの場所あるいは誰か―。少年アヤの宝ものをつめこんだロマンチックなエッセイ集。
目次
ほんとうを生きたい
まっくろランドセルの怪
すすむ季節とふろくたち
ちいさなちいさな輪の話
めぐるものたち
彼らとぼくのみぞ
薄やみにぼんぼり
だからお手紙を書くのさ
あこがれの宝石ばこ
夏のエメラルド〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
qoop
6
リリカルな少女趣味を否定されつつ過ごした少年時代を振り返り、自己肯定で塗り替えようと試みたエッセイ。フェミニズムによって自己肯定のきっかけを得たとする著者だが、個々の嗜好を全体の志向で批判するかのような昨今SNSで見かけるジェンダー論とは一線を画す視点で、自分にとっても馴染みのあるものだと感じた(フェミニズムにしろなんにしろ、思想を一つの潮流にまとめるようなことはしたくないな、とも)。今・此処の問題としてひりつくような皮膚感覚を覚える。2020/07/17
ひとみ
3
少年アヤちゃんの雑誌に連載されたり寄稿したりコラムやエッセイを集めたもの。女児向けおもちゃやセーラームーン、フェミニズムに関するものがメイン。『ハツキス』で連載されていたおもちゃコラムに加筆修正したものがメインになっている模様。アヤちゃんのキラキラしたおもちゃに関する文章のファンなので連載時そのままじゃなかったのが残念ではあったものの、金メッキやアクリルの宝石でできた女児向けおもちゃに、フリマで出会ったボロボロのぬいぐるみといったものたちの世界を的確に表現できるのは著者をおいて他にいないなと改めて思う。2020/07/14
しき
0
最初の一ページから心を鷲掴みにされて、そこからずっとドキドキしながら読んだ。次はどんな言葉を選ぶのだろう?どんな風に表現するのだろう?とわくわくするし、時々嫉妬する。全体を包む切なさも含めて全てがキラキラと輝いている。繊細で、言葉にしたら全部無粋になる気がする。好きな人に勧めたい一冊。2023/02/24
さくさくさん
0
姫ちゃんのリボンがだいすきだったこと、レイアースの海ちゃんがかっこよかったこと、りぼんやなかよしのふろく、セボンスター、さんざん消費だけして忘れてしまっていた(でも確実に自分をつくってくれた)あれこれのことがたいせつにキラキラに描かれていて、センチメンタル待ったなしでした。そして何より、幼い頃の自分が抱えていたけれど言語化できなかった、無視していたモヤモヤや悲しみが、ふわぁ〜っと救われた気持ちになった。はあ、読んでよかった。2023/02/14