出版社内容情報
『国富論』1776年に出版されたアダム・スミスの『道徳感情論』(講談社学術文庫)とならぶ主要二大著作のひとつです。近代経済学の嚆矢とされ、社会思想史上の最重要古典でもあります。『国富論』の取り扱う主題は、多岐にわたり、
分業の役割、
貨幣の特徴、
労働と利子についての考察、
国家間貿易の意味、
国家社会の発展段階とその特徴、
分業と製造業の発展の関係、
国家における軍隊の維持、
道路、港湾、運河などのインフラストラクチャーの整備と維持、
税金の種類と意味、
会社による独占の問題、
重商主義と重農主義の検討、
公債についての考え方、
などなどです。
かつては、市場という「神の見えざる手」に委ね「レッセフェール(自由放任主義)」で、経済は自然と最善へと向かうと主張した書物と受け取られてきました。
しかしそのような読み方は単純にすぎます。
昨今の研究ではスミス『道徳感情論』とあわせて読むことで、真に国家が豊かになることの哲学を探究しています。
目次
序と構想
第一編 労働の生産力が改善される原因、および労働の生産物がさまざまな階級の人々に自然に分配される秩序について
第二編 元本の性質、蓄積および利用について
第三編 さまざまな国民における富裕の進展の相違について
第四編 政治経済学の体系について
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
45
ひょっとしたら、人間を人間の社会を発展させてきたのはサボりたい(楽をしたい)という感情なのではないでしょうか?人間は他の動物とは違い、相手の利益に訴えるということができるし、(動物はそんな想定すらしない)さらには交換するという人間特有の行為があり、この交換という行為は楽をしたいという人間のサボり癖のようなものが関わっているのだろうと思います。例えば、スミスが例に出した工場の少年の例もそれを裏付けるものです。少年は仲間と遊びたいという思いからある機械を開発し、それに仕事をさせ、少年は遊ぶ時間を得たのです。2022/11/16
やまだてつひと
5
経済の古典。難解な内容であったり、身近ではない例や貨幣の単位が多く出てより理解が難しかった。 節制を推奨していたり、生産物の余剰の話しなどは、近頃話題になっている。贈与論の統計物理学的アプローチ――の話を理解する為に必要な知識だったのかなぁと思いながら読んだ。2024/09/15
ごみくず
1
速読.『国民の富の性質と原因に関する研究』だいぶ難しいので全体観の把握からした方がよい2025/05/01
岩間 宗達
1
読了。「読書大全」2冊目。とにかく難解ではあったが、よく読むと幾つかのトピックスは興味深く読めた。 特に印象に残ったのは500ページ「浪費家は国民の敵、節約家は国民の恩人」という記述。消費(浪費)=善という現代に一石を投じるのでは2023/03/22
yu12418
1
経済学の知識なしに1回読んだだけでは、全然内容が理解できなかった。ただ、時代が古すぎて、現代の情勢に全く適合しないというわけではなさそうだった。経済学初心者は、もっと噛み砕いて書かれたものから始めた方が良いということは良く分かった。2020/08/30