出版社内容情報
動物は、常に優しく人間に寄り添う。ただ、彼らの一生は本当に幸せだったのだろうかーー。
秋田犬・五郎丸は、いく人かの飼い主を得ることになった。その生涯は幸せだったのか。
乱歩賞作家が動物を通して人間を描いた連作短篇集。
第一話 納屋の犬
第二話 フォックスファイア
第三話 救世主
第四話 捨てられし者
第五話 相談者
第六話 むくの犬
最終話 朝焼けの光
内容説明
詐欺まがいのブラック企業で働く新城正の救世主は真っ白な秋田犬だった。通勤途中に目を奪われた里親募集の貼り紙から、期間限定の共同生活をすることになった一人と一頭。だがそれは正の不運続きの人生を大きく変える運命の出会いとなる。震災後を生きる人々と寄り添う優しい犬の生涯を描いた感動作。
著者等紹介
三浦明博[ミウラアキヒロ]
1959年宮城県生まれ。明治大学商学部卒業。広告制作会社でコピーライターとして勤務。’89年にフリーに。2002年『滅びのモノクローム』で第48回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
81
見たことのない真っ白な秋田犬が納屋で亡くなっていた。老人は荼毘に付し山にお墓を作ってやる。そして、老人は自らの命を…。五郎丸という秋田犬がどうやって生きてきたのか、そして最後を何故この場所で迎えたかったのか。五郎丸と共に生きたおかげで生きる意味を知った人たち、どうしても手放さなければいけなかった家族の事情。バラバラに描かれる時系列が繋がる時、五郎丸の生涯が見えてくる。東日本大震災でいろんな物を失った代わりに見つけた生きがい、そして再び寄り添ってくれる犬。「少年と犬」を思い出す心温まる作品。2020/10/22
きょん
7
秋田犬五郎丸の数奇な生涯。人間のエゴ、偽善にうんざりするが、すべてを達観しているかのような、不思議な存在感のある犬だ。動物を通して、人間は自分の醜さを知り、或いは己の中に慈愛を見いだしたりするのだろう。2022/06/15
まつこ
6
沁みるいいお話なのに登録数少なくてびっくり。秋田犬が色んな飼い主を転々とするお話。賢くて気高い五郎丸の姿が目に浮かぶ。私はみすずさんが一番好きでした。あとどんな理由であれ犬を捨てちゃだめ絶対。2020/12/29
hasami1025
5
真っ白な秋田犬、五郎丸の生涯。優しくて賢くて、勇敢。不甲斐ない身勝手な人間の事情に振り回されまくるのに、とにかく優しい。感動よりも反省が勝り、なんだか人間をやめたくなった。2024/12/22
フロッグ
5
一頭の秋田犬と出会う人たちの話。連作短編の中盤で、五郎丸を山に放つ場面に号泣してしまった…。2020/03/22
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