内容説明
これは、近未来の日本の姿かもしれない。
目次
第1章 過酷な受験競争と大峙洞キッズ(大峙洞キッズとマネージャーママ;何でもありの大峙洞塾業界;政治に振り回される韓国の教育政策)
第2章 厳しさを増す若者就職事情(最悪の就職率と卒業猶予生;N放世代とスプーン階級論)
第3章 職場でも家庭でも崖っぷちの中年世代(襲いかかるリストラの恐怖;我慢を続ける「雁パパ」たち)
第4章 いくつになっても引退できない老人たち(居場所をさがす高齢者たち;「敬老社会」から「嫌老社会」へ)
第5章 分断を深める韓国社会
著者等紹介
金敬哲[キムキョンチョル]
韓国ソウル生まれ。淑明女子大学経営学部卒業後、上智大学文学部新聞学科修士課程修了。東京新聞ソウル支局記者を経て、現在はフリージャーナリスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
129
今年一番の衝撃の書。数百のデータの数だけそのまま衝撃波を受けた感覚で、こんなに驚かされたことはない。超競争社会、早期脱落社会の実態は想像をはるかに超えるもので本書を読まなければ知らないままだろう。こんな国は世界で韓国だけだ。韓国ドラマのシナリオの重みも10倍になって降ってきたのだった。2019/12/16
アキ
72
1997年IMF危機以降、格差が拡大し障壁社会とも言われる。韓国企業全体の0.1%の大企業が経済全体の半分を占め、小学生から過酷な競争を強いられ、大学進学率は70%なのに若者の失業率は10%近い状況。低い結婚率と高い離婚率で2018年合計特殊出生率0.98人と世界初の0人台に。ソウル在住の男性の退職年齢は平均53歳で退職後の再就職率は53.3%。引退年齢は男性平均72.9歳。OECDで最も高い老人貧困率46%。文在寅政権の前政権への積弊清算が韓国経済を窮地に追いやる。隣国韓国社会の現実が日本への警鐘になる2019/12/25
HANA
62
子供は受験戦争、青年は就職競争、中年は出世レース、老人は生存。本書は過酷な競争社会に生きる韓国のルポタージュである。毎年受験の時期にニュースで流れるパトカーが受験生送ったり後輩の応援合戦を見て変わった風習があるな。と思ってたけど、本書を読んで何となくその理由に納得できた。あとお婆さんがごみを拾う箇所は涙を禁じ得ないというか。日本はまだこれらに比べると流動性があると思うけど、あまりに新自由主義に傾きすぎると後を追う危険性があるのではないかと、ぼんやりと生きてきたわが身と共に少々危機感を覚えつつ読みました。2019/12/17
Aster
56
韓国における資本主義の悪い面だけをクローズアップしてるので良い面は全く書かれていない。しかしながら現実に各世代ごとに弊害が起きていることは確か。地獄としか言いようがない。抜け出せないアリ地獄というよりも強制収容所に近い。這い上がろうとしても意味が無い。全てを諦める方が賢明なのである。これが先進国の成れの果てなら資本主義もリベラリズムもマルクス主義もなんら意味をなさない。人間と経済はもはや両立出来る道など残されていないのでは…2020/10/25
樋口佳之
47
最低賃金2年で30%アップは、余程好景気であるとか、雇用主への十分な手当あるとか無いと大変だろう。ちなみに、2012年第二次安倍内閣発足時点での東京の最賃は850円で2020年は1013円。8年で20%弱アップ。「今すぐ1000円」が、東京ではいつの間にか実現されていたりする。(但し消費税率も5%アップ)/政治や外交、エンタメ以外の韓国のお話、あまり読む機会無いので勉強になる読書だったと思う。文政権後に何が起こるのかが不安だなあ。2020/10/06