出版社内容情報
清武 英利[キヨタケ ヒデトシ]
著・文・その他
内容説明
四大證券の一角を占める山一證券は1997年、突如破綻に追い込まれた。幹部たちが我先にと沈没船から逃げ出すなかで、最後まで黙々と真相究明と清算業務を続けたのは社内中から「場末」と呼ばれる部署の社員だった―。講談社ノンフィクション賞受賞、WOWOWドラマで大反響の傑作ノンフィクション!
目次
1章 予兆
2章 不穏
3章 倒産前夜
4章 突然死
5章 しんがりの結成
6章 社内調査
7章 残りし者の意地
8章 破綻の全真相
9章 魂の報告書
10章 その後のしんがり兵
著者等紹介
清武英利[キヨタケヒデトシ]
1950年宮崎県生まれ。立命館大学経済学部卒業後、’75年に読売新聞社入社。青森支局を振り出しに、社会部記者として、警視庁、国税庁などを担当。中部本社(現中部支社)社会部長、東京本社編集委員、運動部長を経て、2004年8月より読売巨人軍球団代表兼編成本部長。’11年11月、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を解任され、係争に。現在はノンフィクション作家として活動。著書『しんがり 山一證券最後の12人』で’14年度講談社ノンフィクション賞、『石つぶて 警視庁二課刑事の残したもの』(講談社)で’18年度大宅壮一ノンフィクション賞読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hatayan
46
1997年に破綻した山一証券の最期を看取った社員の知られざる奮闘を記した名著。単行本は2013年刊。2015年に引き続き2019年に2度目の文庫化。稼ぎ頭だった営業の部署に比べると地味でさえない内部管理のスタッフが、会社の不正が常習化するまでの原因と経過を当事者から粘り強く聞き出し緻密な報告書を取りまとめるまで。2019年版では、清算業務を支えた社員が鬼籍に入り始めていることが記されるほか、著者と同世代の池上彰氏が熱く温かい解説を寄稿。これまで『しんがり』を読んだことがある者でも新たな発見のある一冊です。2020/06/02
penguin-blue
46
就職活動時、山一は人気企業ランキング上位にいて数年後に破綻するなんて思いもしなかった。あの頃からなくなったり低迷した企業はけっこうあるけど、会社の運命なんてわからないものと印象付けた走りだった気がする。会社を立ち上げ育てるのも大変だけど、人が作った会社の終焉に立ち会い、それを綺麗に終わらせるのも大変なこと。むしろ光が当たらず得る果実がない分、そこに力を傾けるのはより大きな意志の力が必要なのかもしれない。やや劇画帳にすぎるきらいはあるが、会社員としては身につまされ、しんがりをやり遂げた彼らを心から尊敬する。2020/02/03
kk
19
山一証券が自主廃業に追い込まれたあと、破綻原因の調査と清算業務のため、最後の最後まで修羅場に踏み止まった人たちの物語。沈む船から逃げていく上役や再就職のために去っていくかつての仲間たちの姿を目の当たりにしながら、なぜ彼らは敢えて持ち場を捨てなかったのか、何が彼らを支えたのか。企業であれ何であれ、世の中、本当に酷い人々と立派な人々がいるんだなと、今さらながら感心させられ、また組織の中で生きることの難しさを痛感させられました。「サラリーマンの哀しいほどの律儀さと志操の高さ」に、kkも圧倒されてしまいました。2021/06/16
まっと
16
(再読)2024/07/24
なの
14
たまたま号泣会見を知って、山一破綻を知りたいと思って読み始めました。ただし号泣社長は添え物程度でした。 心の清涼感こそが力の源泉、サラリーマンたる自分に、投げかけられた強い言葉となりました。2025/03/11