出版社内容情報
忘れられない初恋を捨てる旅に出た。難病を抱えた彼女を捜す旅。あの日の恋と謎の結末は――。暖かい涙こぼれる青春恋愛ミステリー。
内容説明
「シュレディンガーの猫」は生と死が重なり合った状態ならば、俺の初恋はシュレディンガーの恋というべきだろう。意地を通し会社を退職した俺に、妹から一年ぶりの電話。病を抱えた高校時代の恋人を捜しに行こうというのだ。彼女の足跡を辿り妹と旅に出た俺が出会う、切なく優しい恋と謎。旅の終着地で俺が目にした終わった恋の結末とは。心に希望が灯る青春恋愛ミステリー。
著者等紹介
小川晴央[オガワハルオ]
静岡県出身。2013年電撃小説大賞金賞を受賞。受賞作は2014年『僕が七不思議になったわけ』(メディアワークス文庫)として刊行される。2019年「サクラの降る街」で第10回京都アニメーション大賞KAエスマ文庫特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
38
意地を通して退職した拓斗にかかってきた妹・莉音からの一年ぶりの電話。妹と一緒に心残りだった高校時代の恋人・小夜の足跡を辿る旅に出る物語。妹に指摘されて未練が残る過去の恋に決着をつけることを決意した拓斗。遭遇する謎を気が利く賢い妹にフォローされつつ解きながら、小夜に繋がる手がかりを追ってゆく展開でしたけど、それは一方で妹もまた思い悩む自身の過去に向き合う過程に繋がっていて、これまで積み重ねてきた状況からつい小夜のその後を想像してしまいましたが、そんな結末をいい意味で見事裏切ってくれたとても素敵な物語でした。2019/12/11
coco夏ko10角
27
内容紹介だと「青春連載ミステリー」だけど、それより兄妹のロードムービーの方がしっくりくる。妹の不安・沙代はどこでどうしているのか…と読み進めるも、最後の図書館職員・ストーカー夫婦にもっていかれた。「こんな僕のことをストーカーしてくれる人がいる」で喜ぶ男性、「店員が女だったら会計させない」ほどの嫉妬深さ・執着の女性…。この二人がメインの純文学読んでみたいな。2020/06/28
ぐっち
20
高校生の頃に病院で出会った元カノを、妹と一緒に探す旅にでる…女子への夢が詰まってるがな、と若干引いて読んでいたけど、最後気持ちよくだまされた。私的には手紙の男の子は応援したいなと思った。2020/11/28
chi.
17
会社を退職した拓斗に、妹・莉音からの電話。病を抱えていた拓斗の高校時代の恋人である沙夜を捜しに行こう、という妹とともに、僅かな手掛かりを元に沙夜を捜す旅に出る。途中で出会う少年や少女、夫婦達などの恋を見届けながら、ついに二人は沙夜の元へと辿り着く。そうだったらいいな、と思えるラストで良かった。沙夜と拓斗、そして莉音と大志のこれからが幸せでありますように。2019/12/27
ツバサ
16
終わった恋を掘り起こす。過去の初恋相手をいつまでも忘れずにいて、その相手をか細い可能性にかけて探していき、辿り着いた結末には胸が熱くなりました。初恋相手を見つけるまでの過程で、目撃する様々な恋の形が作品をより昇華させていた。良い話。2019/11/23