講談社現代新書<br> 世界の読者に伝えるということ

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講談社現代新書
世界の読者に伝えるということ

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  • サイズ 新書判/ページ数 246p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062882552
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0290

出版社内容情報

クールジャパンと唱える前に、日本文化の発信に大切なことはそもそも何だろう?比較文学と地域研究の視点から考える先駆的論考

日本文化が世界で人気があると聞くとうれしい。コンテンツ輸出も重要だ。ただ、日本文化の発信にあたって、いま求められているのは、「日本発の文化を、日本以外の世界の読者の視点から見てみる」ことではないだろうか? 
アメリカで森鴎外を学び、大学で教えた経験も持つ著者が、文学と批評を例にして、比較文学と地域研究というふたつのアプローチを通して考える。


【目次】
序章 「世界の読者」の視点

第1部 ひとつめのレンズ 比較文学篇――世界文学としての日本文学

第1章 アメリカで学んだ、日本文学の大切なこと
第2章 「世界の読者」から読みかえる村上春樹
第3章 「世界文学」という読みかた
第4章 海外の大学から見る「日本文学の発信」

第2部 ふたつめのレンズ 地域研究篇――日本研究からみる日本文化・ポピュラーカルチャー・現代日本の批評

第5章 日本研究という視点
第6章 日本研究で「日本らしさ」を語ることのむずかしさ
第7章 日本のポピュラーカルチャーを研究する
第8章 海外の日本研究から読む、現代日本の批評

終章 すべての文化は「世界の財産」である

【著者紹介】
1972年、静岡市生まれ。上智大学国際教養学部准教授。県立静岡高校卒業後、渡米し、ボードイン大学で物理学・宗教学を専攻。プリンストン大学大学院比較文学部博士課程修了(専攻は日本近代文学・英文学)。プリンストン大学非常勤講師、オハイオ州ウィッテンバーグ大学ティーチングフェロー、ウィスコンシン大学客員助教授などを経て現職。2012年、ライプツィヒ大学客員教授としてドイツ・ライプツィヒに滞在。訳書にHiroki Azuma, Otaku: Japan's Database Animals(東浩紀『動物化するポストモダン』の英訳、ジョナサン・エイブルと共訳)、アルバート・ウェント『自由の樹のオオコウモリ』(日本経済新聞社)など。

内容説明

“日本”が世界で読まれるための戦略とは。クールジャパンを唱える前に、日本文化の発信に大切なことは、何だろう?アメリカで森鴎外を学んだ著者が、文学と批評から考える。

目次

「世界の読者」の視点
第1部 ひとつめのレンズ比較文学篇―世界文学としての日本文学(アメリカで学んだ、日本文学の大切なこと;「世界の読者」から読みかえる村上春樹;「世界文学」という読みかた;海外の大学から見る「日本文学の発信」)
第2部 ふたつめのレンズ地域研究篇―日本研究からみる日本文化・ポピュラーカルチャー・現代日本の批評(日本研究という視点;日本研究で「日本らしさ」を語ることのむずかしさ;日本のポピュラーカルチャーを研究する;海外の日本研究から読む、現代日本の批評)
すべての文化は「世界の財産」である

著者等紹介

河野至恩[コウノシオン]
1972年、静岡市生まれ。上智大学国際教養学部准教授。県立静岡高校卒業後、渡米し、ボードイン大学で物理学・宗教学を専攻。プリンストン大学大学院比較文学部博士課程修了(専攻は日本近代文学・英文学)。プリンストン大学非常勤講師、オハイオ州ウィッテンバーグ大学ティーチングフェロー、ウィスコンシン大学客員助教授などを経て現職。2012年、ライプツィヒ大学客員教授としてドイツ・ライプツィヒに滞在(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Y

46
ネットメディアの普及によって文化をめぐる環境が世界的に変化していく中で、知らない国の文化でさえも手軽にふれられるようになった。そうした状況下で日本でも政府主導での文化の発信が喧伝されている。しかし筆者は発信者側の発信したい気持ちと受け手の知りたい気持ちが噛み合っていないことを指摘し、齟齬を解消するための方法として「世界の読者の視点」の必要性を提示している。こうした視点を得るためには比較文学と日本研究の二つの視点を使い分けることが肝心らしいが、ひとえに文学の研究といっても色んなアプローチの仕方があるのだな。2014/05/04

壱萬参仟縁

23
発信の方向を変えれば、送り手と受け手のミスマッチは軽減される。世界の人々が日本文化を現地でどう届けてくれるか、受け手はどんな関心を持っているのか、知る必要がある(13頁)。世界の読者は、ふたつのレンズ(比較文学と地域研究)を使い分けて文化を見ている(24頁)。政治・経済のグローバル化の中、外国文学をどう読むか、再考するムードがある(83頁~)。 他の文化では、自文化・価値観では許されないことが行われていると気づくことも増えてきた(101頁)。  2014/09/01

禿童子

17
「日本文化論」からの脱却、アニメなどのサブカル研究の定着。世界文学としての日本文学の再評価など従来の『日本らしさ』の追求から大きく異なる方向に進んでいることがわかる。モレッティの「世界文学をめぐる仮説」=「近代小説というジャンルは西洋の最先端の小説の形式を取り込むことと、新しい形式にローカルな現実を盛り込むことの葛藤・妥協の結果できた」が、柄谷行人の『日本近代文学の起源』の影響で着想されたこと、東浩紀『動物化するポストモダン』の英訳本がアメリカの日本研究で注目されていることなど刺激的な報告が面白い。2017/08/25

たくのみ

15
日本をもっと知りたいという外国の人たちと、日本の良さを知ってほしい私達。「発信したい」と「知りたい」がずれてしまう。「他の人の靴を履いてみよう」という発想と、「翻訳」で失うものだけでなく、「豊かになる」という発想が必要。「舞姫」を日本に紹介した二葉亭四迷。翻訳を意識して書いたという「吾輩は猫である」。世界的に読まれている村上春樹。東南アジアでヒットするラノベの数々。成功例もたくさんある。ゲーテの造語という「世界文学」。翻訳ものは敬遠していた私も、来年は少し挑戦してみたい。2015/12/26

Humbaba

12
原書をその国の言葉で読む。確かにそれには大きな意味があることは間違いがない。ただし、そうやって他国の言語を学習し、しかも正しく読み解ける人など、それほどの数がいるわけではない。殆どの人にとっては、翻訳された作品やその解説書こそがその作品への評価を決定づけるものとなるだろう。2014/05/08

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