出版社内容情報
桐野 夏生[キリノ ナツオ]
著・文・その他
内容説明
十年来の愛人しか今の薄井の楽しみはない。それなのに逢い引きに急ぐところ、会長が社長の怪しいセクハラ問題を耳打ちする。家には謎の占い師が居座り、女のマンションで機嫌をとっていれば、妹が電話で母の死を知らせてくる。「なぜみんな俺を辛い立場に立たせる?」欲深い59歳の男を徹底的に描く過激な定年小説!
著者等紹介
桐野夏生[キリノナツオ]
1951年金沢市生まれ。’93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、’98年『OUT』で日本推理作家協会賞、’99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、’04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、’05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、’08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、’09年『女神記』で紫式部文学賞、’10年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、’11年同作で読売文学賞を受賞。’15年紫綬褒章を受章した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミッフー
95
これが桐野さんの小説⁉️渡辺淳一先生の作品じゃないの❓と思わせる一冊📖軽いタッチでケチで自己中な親父の破滅が書かれてます。主人公親父の薄井が地位と資産を除き全く他人に思えず、「最後はハッピーエンドであってくれ❗️」と祈る気持ちで読んでる僕😅あっという間に600ページ近くを読み終えていました💦最後は尻に引かれる運命も妻の史代とよりが戻るかと思いきや😱そこが男の不貞に甘い渡辺先生とは違い、女性である桐野先生の厳しいところ😓でも59歳で週に二日、二回戦は男の精力事情に疎い女流作家ってとこでしょうか😜2020/06/11
TAKA
79
これ映画化したら面白いんじゃないかな。ダメ親父的な薄井が名前どおり薄いことこの上ない。こんな人よくいるちゃいえばいるんだけど懲りないしめげない。欲深い奴は全てにおいて細かい。占い師なのかペテン師なのかしらんけどこの長峰っていうおばはんも欲の上に跨がってるような人でいいキャラ立ちしてますわ。全ての人物が欲の塊の策士揃いで滑稽だね。身から出た錆とはいえ夢心地の気分も味わえたんだから覚めてもしかたないことだね。長峰役は高畑淳子さんお願いします。2023/04/02
佐島楓
79
時々桐野作品だということを忘れそうになりながら読み進んだ。スケベな初老のオッサンの波瀾万丈な日々が活写されており、欲望と保身のバランスがリアルだった。悪意なく悪意を振りまく女性陣も存在感を放っており、このあたりは桐野さんの人物観察眼さすが、と思う。ある程度の年齢になれば、女性も皆心の中にオッサンを飼っているということを自覚させられた長編であった。2019/08/09
M
66
長いものに巻かれるサラリーマン。59歳。金も地位も女も適当に持ち続けていたい。薄情で貪欲。何が楽しくて過ごしているんだろう。また、露悪的な女性が次々と登場し、そのたびに翻弄され。誰ひとり魅力的な登場人物がいないのにテンポよく読まされた。2019/09/16
カブ
49
主人公薄井正明、59歳。カジュアルブランドOLIVEの取締役。社内の派閥に目を光らせ、会長秘書の浅川の美貌にソワソワ、月3万円で愛人を囲い妻にはバレていないとタカをくくっている。ほんとうに男ってバカ。2020/03/30
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